アルコールで泥酔している姿_ケーススタディ

心の病気の症状別ケーススタディ「アルコール使用障害(アルコール依存症)」(飲酒をコントロールできない)

【CASE】「アルコール使用障害(アルコール依存症)」(飲酒をコントロールできない)

職場で課長職を任され忙しい毎日。特別な趣味も持たず、仕事の後のお酒は唯一と言ってもいい大切なリラクゼーションだった。仕事上の人間関係を円滑にする手段として“飲みニケーション”も積極的に行っていたが、週に2日は休肝日を設けるなど健康にも気遣っていた。ところが、あるプロジェクトで会社の決定した方針に納得がいかず、やけ酒とばかりに大量飲酒をして以来、毎晩お酒を飲まなければ気が済まないようになった。家族が心配するようになったため、今まであまりしたことのない外でのひとり酒をするように。さらには、昼間でも飲みたい欲求にかられて、外回り中に公園で缶ビールを飲むことも増えていった。会社の誰かに見られないか、お酒臭くないかなど心配はあるが、飲んでいないと頭痛や気分の低下、体調不良に苛まれるので飲むのを止めることができず、妻から飲みすぎを責められても「大した量は飲んでいないし、大丈夫だ」と言い続けている。

仕事中など、本来ならお酒を飲むべきではない場面飲んでしまう飲んでいないと正常でいられないとの思いが強い、周囲からは飲み過ぎと言われるが自分では正常な範囲だと思っているような状態は、アルコール使用障害(アルコール依存性)のおもな症状である「渇望と飲酒行動」「否認・自己中心性」に当てはまります。

アルコール使用障害(アルコール依存症)の症状

アルコールの許容量は人によって違いますが、厚生労働省では目安として、「1日平均60gを超えるアルコール摂取」を、アルコール使用障害を引き起こすリスクの高い多量飲酒と定めています。これは、ビール中ビンに換算すると3本、日本酒なら3合弱、焼酎なら300mlに相当します。
アルコール使用障害は、飲酒の適量コントロールができなくなることにはじまり、そこから連続飲酒に発展します。そして、飲みたい気持ちを抑えられず、本来ならふさわしくない場所でも飲酒してしまう心理と行動(渇望と飲酒行動)が起こります。ときには、家族や仕事などよりも飲酒が優先され、問題行動による周囲への迷惑や信頼関係の破綻につながることもあります。
アルコール障害の心理的症状は、本人にその認識がないことが特徴です。これを「否認・自己中心性」といいます。「自分はまだ病的ではない」「そんなに飲んでいない」「大したことない」と、都合のいいように解釈して、問題の重大性を過小評価します。また、アルコールを摂取しない時間が長くなると、手足のふるえ、嘔吐、さむけ、睡眠障害、イライラ感などの離脱症状が現れ、依存度が高くなるほど重症化し、けいれん発作や一過性の幻聴などを引き起こします。同時に、肝臓障害をはじめ、肉体的精神的な健康面でもさまざまな影響を及ぼします。

次に、アルコール使用障害(アルコール依存症)の自己診断 [セルフチェック] を読む

または、アルコール使用障害(アルコール依存症)の改善ステップ を読む

こんな記事も読まれています