オイリュトミー療法

知る人ぞ知る治療法「オイリュトミー療法」

アントロポゾフィー医学(ルドルフ・シュタイナー)に基づく運動芸術療法

オイリュトミー療法とは、アントロポゾフィー医学という日本ではまだあまり知られていない医学理論に基づき、心の病気に身体運動芸術の側面からアプローチする治療法です。アントロポゾフィー医学は、オーストリアの神秘思想家で教育者ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が提唱した人智学(アントロポゾフィー)を基礎としています。現代西洋医学の知識を活用しながらも「病気」をホリスティック(包括的)な視点でとらえ、身体と精神の両面から人間の自然治癒力を高める治療を行うのが大きな特徴です。アントロポゾフィー医学の中心は人間の自然治癒力を高めることにあり、その方法には、自然の植物や鉱物を原料とした薬剤による薬物療法マッサージや入浴などの物理療法音楽や絵画による芸術療法、そして、運動療法に芸術的要素を加えたオイリュトミー療法などがあります。実際の治療は、現代医学とアントロポゾフィー医学の両方の知識を有する医師の処方により、看護師、薬剤師、各種の療法士がチームを組んで行われます。

幼児から高齢者まで受けられる治療法

「オイリュトミー」という言葉は、「調和のとれた美しいリズム」を意味するギリシャ語です。「美しい」という意味が含まれているように、単なるリズム運動ではなくダンスのような身体表現です。また、言葉の持つ「音」「動き」身体各器官とはつながりを持っているとの考えから、動きとともに声や歌が用いられる場合もあります。症状に応じて動きや声を使い分け、心身の機能を調整し、自己治癒能力を高めるのです。療法を受ける人は、専門教育を受けた指導者(オイリュトミー療法士)の指導のもと、自発的に身体を動かします。
オイリュトミー療法は、急性発熱性の身体疾患には適しませんが、それ以外の多くの身体疾患、精神疾患に適用が可能だと言われています。精神面においては、身体のさまざまな流れを整えることにより、活力の増大、ポジティブな思考、集中力の向上などの効果が見込めます。幼児から高齢者まで問題なく受けることができ、特に幼児は心身の健全な成長をサポートし、学習障害などへの効果も期待されています。実践にあたっては、ワークショップや健康維持を目的とした場合はグループで行うこともありますが、治療目的の場合は医師が個別にプランを立て、個人セッション形式で行われることがほとんどです(同じ症状の患者さんのグループ治療に対応している治療期間もあります)。1回のセッションは休憩も含めて30~60分。頻度は1~2週間に1回が基本で、期間は疾患や症状により異なります。

海外における子どもたちのオイリュトミーレッスンの様子
https://www.youtube.com/watch?v=ajNQ-mcqcPc

オイリュトミー療法を受けるには

現在、日本でオイリュトミー療法を受けられる場は、病院、クリニックのほか、カウンセリングルームやセラピストサロンでも対応しているところがあります。また、学校法人シュタイナー学園では、治療ではなく教育プログラムとしてカリキュラムに組み込まれています。ただし、医師の処方のもとで行われる本格的な治療を受ける場合は、アントロポゾフィー医学認定医オイリュトミー療法士のいる医療機関へ行く必要があるでしょう。数は多くないものの、インターネットで「オイリュトミー療法 クリニック」などのワードで検索すれば見つかります。治療費は実施機関によってさまざまですが、一般的には1回あたり3,000~5,000円程度。日本は健康保険の適用外となっているため、100%自由診療です。

参考までに、オイリュトミー療法アントロポゾフィー医学に関する組織・団体を挙げておきます。

日本オイリュトミー療法士協会
http://eu-therapy.jp/tagged/info

一般社団法人 日本アントロポゾフィー医学の医師会
http://j-paam.org/intro

学校法人シュタイナー学園
http://www.steiner.ed.jp/

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