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治療情報&ネット検索術 心の病気の治療法にはどんなものがあるのか?

さまざまなアプローチから自分に合った治療法を探す

現在の日本で、心の病気の治療法といえば、ヨーロッパやアメリカで発達した医学や化学、心理学に基づく「西洋医学」的アプローチが多数派です。でも、心の病気の治療法は一つではありません。たとえば、鍼灸や漢方薬などを用いる「中医学」や、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」も、「心」を深く研究し、独自のアプローチで心のバランス調整のための治療を行い、それぞれに効果を上げています。まだまだ一般的ではありませんが、複数のアプローチ方法を併用する医師や、西洋医学の医師とその他の専門家の連携なども行われるようになっています。心の病気を克服する可能性は、確実に拡大しているのです。

化学や医学を想起させるビーカーや試験管

【西洋医学的アプローチ】薬物治療を中心に心理療法を併用

西洋医学は、古くはルネッサンスに端を発し、19世紀ころから自然科学を分析し、高度に発達した医学です。心の病気の治療においても、この西洋医学的アプローチが多く用いられることは広く一般に知られています。その内容は、精神医学に基づく薬物療法が中心で、たとえばうつ病の場合には、抗うつ薬や抗不安剤などが用いられます。しかし、薬物治療は対症療法として痛みや不眠などの具体的な症状を抑える効果を発揮する一方、副作用の問題は避けて通ることができません。また、西洋医学では根本的な治療は難しく、対症療法を長く続けていくうちに、本来人間がもつ自然治癒力を妨げてしまうというデメリットもあります。

西洋医学の治療過程では、薬物治療と並行して、心理学に基づく認知行動療法などの心理療法が用いられることがあります。認知行動療法は、心の病気に対して実証的な有効性が報告されており、近年では一般的な治療法として認知されつつあります。また、心の病気=脳のはたらきの異常という考え方が進み、脳を正しく機能させるために必要な栄養素を、点滴、サプリメント、食事改善などでコントロールするオーソモレキュラー療法(栄養療法)が、従来の投薬治療や心理療法だけでは対処できない内分泌機能の改善に期待できると、注目が集まっています。

中国の伝統医学と漢方食のスープ

【中医学的アプローチ】中国古来の思想に基づき病気の根源へアプローチ

中医学は、中国で数千年の歴史をもつ伝統医学のことで、整体観、弁証論治に基づき、陰陽五行(中国の古代哲学思想)を援用しながら診断・治療をおこないます。
整体観、弁証論治という言葉は耳慣れないかもしれませんが、整体観というのは、自然=大宇宙、人=小宇宙と捉え、人体は統一されたひとつの整体であるという考え方です。自然環境(季節や気候の変化)は必ず人体に影響を及ぼし、また、どこかに病変が出れば、ほかの部分にも影響して全体のバランスをくずしてしまうという考えから、病気だけでなく、整体としての全身をみるというものです。
また、弁証論治とは、病気の原因・その経過から身体の状態を判断し、治療法を選択する方法です。つまり、西洋医学が「病気そのもの」に対する治療であるのに対し、身体と心のバランスを整え根本治療を目指す中医学は、「人間」に対するアプローチといえるかもしれません。またこれは、西洋医学的判断では健康状態の範囲であっても、病気に近い身体または心の状態を「未病」と定義づけての「治未病(病気を発症させないための治療)」、さらには、疾病予防や病気になりにくい心身をつくる予防医学も含まれます。

具体的な治療法には、薬物治療(漢方)のほか、鍼灸、あんま、気功、太極拳、飲食療法などがあります。なかでも漢方薬は、現代の日本でも心の病気の治療に用いられるケースが多くみられます。西洋医学で使用する薬に比べ副作用が少なく、また、身体の調子を整えるため、西洋医学で処方された薬の効果を促したり、副作用を抑えたりする効果があると期待されているため、漢方薬単独ではもちろん、西洋医学の薬と併用して処方されることもあります。

インドの伝統医学アーユルヴェーダの道具

【インド医学的アプローチ】予防医学を基礎とする全体観医学

アーユルヴェーダは、中医学やユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)とともに、互いに影響を受けながら発展したインドの伝統医学です。中医学同様、心と身体、行動や環境までも含めたすべての調和を重んじる全体観の医学で、病気を治すというのでなく、健康を取り戻し、病気になりにくい心と身体をつくることを目的とする予防医学を基本としています。アーユルヴェーダでは、人の身体は、自ら病気を治す力をもち、健康を高めることができると考えられており、病気になった場合は、その原因となる障害物を取り除けば、自然に病気が消えていくと考えられています。

治療法は大きく、緩和療法と減弱療法に分けられます。
緩和療法では、主に睡眠や食事の改善、薬物の処方がおこなわれます。食事は健康や病気に大きく関係していると考えられています。もともとの体質とそのときの状態によって食べるべき物が指示され、その内容だけでなく、楽しみながら味わうことも重要とされています。また、薬物は、天然に由来する動植物鉱物の生薬が使用され、身体の状態に応じて単体、または複合して処方されます。
一方の減弱療法は、浄化法ともいわれ、できる限り身体に負担をかけないよう、時間をかけゆっくりと段階を踏んでおこなわれます。薬草やオイルを使用し、身体に不必要なものを排出するアビヤンガ(オイルマッサージ)も減弱療法のひとつです。

アーユルヴェーダの心の病気に関する療法は、ヘッドマッサージなどの外用トリートメントや生薬の処方などのほか、ホームレメディ(自然療法対処法)も効果的とされ、注目されています。

ハーブや石やオイル等のヒーリングメディスン

【ホリスティック医学的アプローチ】自然治癒力を高めるさまざまなアプローチ

ホリスティック(holistic)とは、「全体的」「包括的」という意味の英語です。近年、「ホリスティック医学」という言葉をしばしば耳にするようになりました。日本ホリスティック医学協会(http://www.holistic-medicine.or.jp/)によると、ホリスティック医学とは、①ホリスティック(全的)な健康観 ②自然治癒力を原点とした治療 ③患者が自ら治し、治療者はそれを支援するというスタンス ④さまざまな治療法を選択・統合し、最適な治療を行う ⑤病を否定的に捉えず、その深い意味に気づき、より深い充足感のある自己実現を目指すものであると定義しています。具体的には、実にさまざまな治療法がありますが、広く世界に知られ、数多くの事例から有用性が高いと考えられるのは、下記のようなものがあります。

  • 植物療法(ハーブ療法・アロマテラピー)
    植物療法は、植物がもつ成分を利用して生き物の自然治癒力にはたきかけ、病気の治療や予防に生かす療法です。近年、アロマテラピーやハーブは、リラクセーション法のひとつとして知られていますが、こうした植物療法は日本でも古くから使われてきた伝統医学のひとつです。植物由来の漢方薬も植物療法のひとつであり、アーユルヴェーダでも重要視されいる治療方法です。
    植物療法の効果・効能は、血行促進や心身の緊張をほぐすこと、疲れの緩和などが挙げられますが、セントジョーンズワートなど、軽いうつ症状にも効果を示す植物もあります。日本ではまだ認知度は低いですが、欧米ではこうしたハーブの効能を用いた薬物療法が研究され、医学的に有効性が確認されている、またははっきりとした効果があるハーブについては、実際に心の病気の現場などにも使用されています。
  • フラワーレメディ
    フラワーレメディは、花のもつエネルギー(フラワーエッセンス)を利用し、心のバランスを整える自然療法です。世界にはさまざまなフラワーレメディがありますが、イギリスの医師であったエドワード・バッチ博士によって1830年代に体系化された「バッチ・フラワーレメディ」が、現在でも世界の主流です。バッチ・フラワーレメディは、身体の症状とともに感情や心の状態に合ったエッセンスを選ぶことで、本来、人間がもっているエネルギーを活性化と調和へと促します。自然の力を利用するため副作用がなく、子どもからお年寄りまでが安心して使用でき、自分で自分を癒すことができるところがこの療法の特徴でもあります。なお、フラワーエッセンスはアロマテラピーで用いられるアロマエッセンス(精油)と混同されがちですが、天然香料でもある精油に比べてフラワーエッセンスには香りがほとんどなく、製法も異なります。
  • オーラソーマ・カラー・ケア・システム
    オーラソーマ・カラー・ケア・システム(以下、オーラソーマ)は、イギリスの薬剤師ヴィッキー・ウォール女史が瞑想の中で受け取ったインスピレーションから誕生しました。上下2層に分かれた液体の入った110本以上のボトルと、49種類のエッセンシャルオイルを用い、その人のオーラとチャクラの状態を読み解き、必要な浄化やケアを行います。癒しとともに意識の扉を開くことを助け、たましいの成長を促すと言われています。
  • ケイシー療法
    20世紀前半に活躍した霊能者エドガー・ケイシーによるケイシー療法では、循環(血液・リンパ液からなる体液の循環)、同化(食べ物を適切に消化吸収する)、休息・休眠(体を十分休める)、排泄(体内の老廃物を適切に排泄する)を基本原理としています。なかでも排泄を重視しており、体内の老廃物の蓄積が病気の最大の要因であるとしています。そこで、体内の老廃物を排泄する方法として、食事療法やひまし油温熱パック、りんごダイエット、コロニクス(洗腸)などを勧めています。また、循環を円滑にするためには、オイルマッサージなどが勧められています。いずれも健康の維持のため、食事のバランスが重視されています。

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