心に働く運動:一人でいまスグできる運動療法
週2~3回、1回30分の有酸素運動が効果的
古代ギリシャ時代から、運動は肉体だけでなく精神をも整える方法と考えられてきましたが、20世紀に入り、心の病気の治療法としての運動が本格的に研究されるようになりました。この結果、うつ病、統合失調症、不安障害、パニック障害、摂食障害、物質使用障害(アルコール、ニコチン、カフェイン、コカイン等の摂取による中毒作用や依存症)をはじめとする心の病気には、運動療法が生理学的に有効だということが分かってきました。そのメカニズムなどについては、また別のところで説明していきますが、運動量の目安は「動けないほど重篤な場合を除き、週2~3回、1回30分以上の有酸素運動」です。運動の内容は基本的に何でも構いません。体力的にも経済的にも、無理なく続けられるものであればOKです。ここでは、今すぐ一人でも始められる運動をご紹介します。
■踏み台昇降
10~20cmの踏み台を用意します。踏み台は専用器具を購入すると便利ですが、自作や代用品でも構いません。ただし、十分な強度があるものを選び、運動中に台が動いて転倒しないよう、台の底や床に滑り止めを施しましょう。
① 台の前に立ちます。
② 「右・左」の順で台に乗り、「右・左」の順で台から降ります。
③ 今度は「左・右」の順で台に乗り、「左・右」の順で台から降ります。
④ ②と③を繰り返します。最初は10分が目安です。
■ハーフスクワット
道具を使わず、狭い室内でも行える運動です。
① 両足を肩幅に開き、つま先をまっすぐ前に向けて立ちます。胸を張り、背筋を伸ばします。
② 両手を前に伸ばし、息を吸いながら膝をゆっくり(3~5秒)曲げて腰を落とします。お尻を突き出すようなイメージです。膝がつま先より前に出ないように注意します。
③ 膝が90度くらいまで曲がったら、息を吐きながらゆっくり(3~5秒)元に戻りながら腕を下ろします。
④ ②と③を繰り返します。最初は10回×3セットを目安にします。
■寝ながら足上げ
寝ながらできる有酸素運動なので、寝る前などにも簡単にできます。布団の上だと身体が沈むので、床や畳の上で行います。床の冷たさや固さが気になるときは、ヨガマットなどを敷くと良いでしょう。
① 床に仰向けに寝ます。
② 両手を左右に広げます。
③ 右足をまっすぐ90度持ち上げます。
④ 右足をキープしたまま、左足もまっすぐ90度持ち上げます。
⑤ 左足をキープしたまま、膝を曲げずに右足を下げます。
⑥ 膝を曲げずに左足を下げます。
⑦ ③~⑥をリズミカルに繰り返します。
いずれの運動も、痛みを感じたら止めてください。また、運動の前後は水分を補給しましょう。