脳科学者が脳卒中を発症。そのプロセスで見た神秘とは?

ジル・ボルト・テイラー氏には、統合失調症という脳障害をもつ兄がいました。
普通の人は夢を現実の世界で実現することもできるのに、
統合失調症の兄は、なぜ夢を現実の世界と結びつけられず、妄想となってしまうのか
その理由が知りたくて、精神疾患の研究を志した彼女は、ハーバード大の研究室で、
脳科学者として研究をしていました。
ところが、1996年12月10日の朝彼女自身が脳卒中になってしまったのです。

彼女は脳科学者として、自分が脳障害を発症したことを知り、
脳の情報処理機能が停止していく、そのプロセスをリアルに体験しました。

広範囲に及ぶ脳卒中の発作によって、寄せては返す波のように、
右脳と左脳のそれぞれの意識を経験する中で、
「運動」「言語」「自己認識」といった彼女自身の脳の機能が、
ひとつずつ活動を停止していくのを観察することになったのです。

彼女は、左脳の意識では脳機能が停止していく現実認識を体験し、
右脳の意識では神秘的なまでに美しく、平安に満ちあふれた
「いま、この瞬間」すべてとの究極的なつながりを体験しました。

そして、この素晴らしい右脳での体験は、
私たちが生きているときにも意識的に経験することができる
と彼女は語ります。

彼女は脳卒中から完全復活を果たしました。
朦朧とした意識の中での、「この素晴らしさを、生きて共有しなければ」という思いが、
復活への原動力になったのです。

ジル・ボルト・テイラーさんのTEDでのプレゼン
「ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作」

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