心に良い食事の摂り方─4 糖の摂り方が心のあり方を左右する(中編)

心に良い食事の摂り方─4 糖の摂り方が心のあり方を左右する(中編)

糖の摂り方が心のあり方を左右する(中編)

医師でも知らない人が多い機能性低血糖症とは

清涼飲料水を多量に飲み続けることで心身に不調が生じる「ペットボトル症候群」は、人為的に大量の糖を摂取することにより血糖値(血液中のブドウ糖濃度)がうまくコントロールできなくなる病気です。いわば、急性の糖尿病と言えるでしょう。このペットボトル症候群の正体が、「機能性低血糖症」です。ペットボトルの清涼飲料だけでなく、砂糖を大量に使用したお菓子や白米、アルコールなども原因となり得ます。単に「低血糖症」と言われることもありますが、通常の糖尿病の方が陥りやすい低血糖症(低血糖状態)とは区別して考える必要があります。しかし実は、このあたりを熟知している医師は、精神科や心療内科以外ではまだあまりいないようです。
詳しいメカニズムは後述しますが、機能性低血糖症は、短時間に糖を大量に摂取したことが発端で起きる病態です。これに対して、糖尿病の方が陥りやすい低血糖状態は、生活習慣や糖代謝異常により慢性的に高血糖状態になっているのを、服薬等の治療プロセスにおいてうまく調節できずになるものです。つまり、血液中のブドウ糖濃度が下がっているという現象は同じでも、原因が異なるのです。糖尿病の方が低血糖状態になったときには、飴などをなめて糖を補充するのが一般的な対処法ですが、機能性低血糖症の場合、同じように考えて糖を補給すると症状を悪化させる可能性があるので、十分に注意しなければいけません。

機能性低血糖症のメカニズム

生物は、内部環境を常に一定に保とうとする傾向を持っています。これをホメオスタシス(恒常性)と言います。食事などで糖分を摂取すると、消化に伴い血糖値が高まります。すると、ホメオスタシスが働き、膵臓のランゲルハンス島からインスリンが分泌されて血糖値を下げます。そして、血液内の糖は身体の各組織に届けられ、エネルギーとして消費されたり、蓄積されたりします。糖が消費されて不足すると、胃などから分泌されるグレリンというホルモンが、脳の視床下部にある食欲中枢を刺激して食事を促します。
糖代謝に問題がなく、ごく一般的な食事内容であれば、このメカニズムは安定的に機能します。しかし、ペットボトル飲料などから、ショ糖やブドウ糖などの吸収しやすい糖分を大量に摂取すると、血糖値は急激に上がります。このためホメオスタシスも急激に働き、インスリンが大量に分泌されます。1日に何度もペットボトル飲料などを飲むと、インスリンの大量分泌が繰り返されることとなり、血糖値が急激に下がる低血糖状態になります。低血糖状態になると、自覚症状としてはだるくなったり眠くなったりします。この状態になると、またもやホメオスタシスが働き、血糖値を上げるために副腎からアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは「攻撃ホルモン」とも呼ばれ、交感神経を刺激して、動悸がしたり怒りっぽくなったりします。これが、機能性低血糖症のメカニズムです。

このように、機能性低血糖症は、「低血糖」という言葉が使われているため誤解されやすいのですが、血糖値がどんどん下がる病気ではなく、血糖コントロールがうまくいかなくなる病気です。糖の大量摂取による血糖値の乱高下が日常的になると、やがては膵臓が疲弊してインスリンが不足し、血糖値が高いままとなって慢性の糖尿病に移行するケースも少なくありません。

機能性低血糖症が心にもたらす影響

機能性低血糖症になると、身体的、精神的にさまざまな症状が表れます。

<身体的症状>
●極端に疲れやすい
●食後の極端な眠気
●倦怠感
●頭痛
●めまい
●発汗
●動悸
●ふるえ
●目のかすみ
●意識消失
●痙攣
●昏睡 など

<精神的症状>
●集中力低下
●うつ
●イライラ
●キレる
●感情の浮き沈みが激しい
●不安感
●不眠 など

また、機能性低血糖症は、なりやすい人となりにくい人がいます。以下に、なりやすい人の体質的特徴と生活習慣的特徴を挙げておきます。体質的特徴は自分で気づくことはできませんが、生活習慣的特徴は、日常の行動を振り返ることで分かります。当てはまる人は、生活習慣の見直しと改善を図りましょう。

<体質的特徴>
●消化機能が弱い
●糖に対して敏感
●インスリンに反応しやすい
●糖の燃焼速度が速い
●アレルギー体質
●貧血が起きやすい
●膵臓機能障害の傾向がある
●甲状腺機能障害の傾向がある
●自律神経失調症の傾向がある

<生活習慣的特徴>
●甘い清涼飲料水や砂糖を大量に使ったお菓子を毎日飲食する
●白米や食パンが好き
●アルコールを良く飲む
●コーヒーなどカフェイン飲料を良く飲む
●喫煙習慣がある
●大食(過食)
●ストレスを溜めている
●食べ物に好き嫌いがある

※機能性低血糖症の詳しい対処方法については、
心に良い食事の摂り方─5 糖の摂り方が心のあり方を左右する(後編)」を読む
心に良い食事の摂り方─3 糖の摂り方が心のあり方を左右する(前編)」を読む

Top photo by Shardayyy

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