心に良い食事の摂り方─3 糖の摂り方が心のあり方を左右する(前編)

心に良い食事の摂り方─3 糖の摂り方が心のあり方を左右する(前編)

糖の摂り方が心のあり方を左右する(前編)

アンバランスな現代日本の食生活

人間にとって糖は、細胞のエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。何もしなくても、私たちの身体は1日でブドウ糖200~250g分のエネルギーを必要とし、そのうち120~140gが脳で消費されると言われています。一方、2015年2月にある企業が行った調査によれば、男女ともあらゆる世代で基準値(男性250g、女性200g)以上の糖を摂取していました。最も多く摂取していた女性50代では、基準値に対して倍以上も摂取していたのです(下記「1日の食生活で摂取している糖質量」グラフ参照)。こうした現代日本人の栄養素の過剰摂取は、糖に限ったことではありません。たとえば、塩分は、世界保健機構(WHO)が定める摂取目標の5gに対し、男性は11.3g 、女性は9.6gとこれも倍近く摂取。同様に、タンパク質や脂質も、国やWHOが定める目標値を上回る摂取量となっています。
その一方で、高齢者と若い世代の女性の間では、必要な栄養を得られていない低栄養状態の人が増えているのも事実です。高齢者は加齢による食欲や咀嚼力、消化力の低下を原因として、若い世代の女性は主にダイエットによって、栄養失調を起こしているのです。食べ物があふれる現代日本の食生活は、自分で適切にコントロールするのが難しい環境といえるのかもしれません。しかし、アンバランスな食生活は、身体や心のバランスを崩してしまいがちです。特に、糖の過剰摂取は心に深刻な状態を引き起こしやすいので注意が必要です。
出典:「食習慣と糖に関する20~60代男女1000人の実態調査」(サッポロビール調べ, 2015年2月実施)
<http://www.sapporobeer.jp/news_release/0000021083/index.html>(参照2016-1-26)

糖の過剰摂取が引き起こす体内現象

糖質(ご飯などの炭水化物や甘いもの)が体内に吸収されると、胃や腸でブドウ糖に分解されて血液の中に入り、血糖値が上がります。血糖値が上がるとすぐ、膵臓のランゲルハンス島と呼ばれる組織からインスリンが分泌されます。そして、糖が血液にのって必要な組織に到達すると、インスリンの働きによって細胞内に吸収され、その組織の活動エネルギーとして使われたり、備蓄されたりします。このようにして、血糖値はつねに一定の幅に抑えられているのです。つまり、私たちの身体は、インスリンの働きによって血糖値がつねに高い状態(高血糖状態)となることを回避しているのです。血糖値が高い状態が継続すると、全身の血管がダメージを受け、さまざまな合併症を引き起こす原因となります。
健康な人がバランスのとれた食事をしているぶんには、膵臓は安定的にインスリンを分泌します。しかし、甘いジュースを一気飲みしたり、お菓子を一度にたくさん食べるなどで血糖値が急激に上がると、インスリンも一度に大量に分泌され、すみやかに血糖値を下げようとします。何度もこのようなことが繰り返されると、いずれ膵臓の疲労が大きくなって、インスリンを適切に分泌できなくなり、以下のような不具合が生じます。

  • インスリンの分泌が不足した場合
    血液中の糖を処理しきれず、高血糖状態が続き、糖尿病のリスクが高まります。
  • インスリンの分泌が過剰になった場合
    少しの糖にも過剰に反応して大量のインスリンが分泌されると、低血糖症のリスクが高まります。そして、低血糖症は、うつやイライラなどの心の病気の原因となり得ます。

次の記事では、低血糖症について詳しく解説しています。
心に良い食事の摂り方─4 糖の摂り方が心のあり方を左右する(中編)」を読む
心に良い食事の摂り方─5 糖の摂り方が心のあり方を左右する(後編)」を読む

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