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心に良い食事の摂り方─7 腸内を整えて心も身体も軽くする②「サイコバイオティクスが心を軽くする!?」

世界トップレベルの研究者による「腸脳相関」最新研究

にはたくさんの細菌がいて、人が食べ物を分解し、栄養としてからだに取り入れる上で重要な働きをしています。しかし、それだけではなく、これらの細菌が心にも大きな影響を及ぼしていることが、最新の研究で明らかになりつつあります。
カナダのマックマスター大学のコリンズ教授が、健康なマウスの腸内細菌を全て取り除く実験を行なってみたところ、マウスの用心深さが減ったり、不安行動が多くなったりすることを突き止めました。さらに、腸内細菌を持たないマウスに行動的なマウスの腸を移植するとそのマウスが行動的に、臆病なマウスの腸を移植すると臆病になることも確認しました。また、アイルランドのコーク大学のクライアン教授は、自閉症のマウスに一定量の乳酸菌を与えると、ストレスや抑うつに対する反応が減ることを確認しています。
本サイト記事の『心に良い食事の摂り方─6 腸内を整えて心も身体も軽くする①「心の病気と腸内常在乳酸菌」』では、腸内細菌の善玉菌(プロバイオティクス)悪玉菌(アンチバイオティクス)の心へのはたらきを、代謝の面から解説しています。しかし、コーク大学やマックマスター大学の研究チームは、そこからさらに踏み込んで、腸内細菌が腸神経を刺激して、脳に伝わる電気信号を発生させる説を唱えています。その仕組みについてはまだ解明が始まったばかりですが、腸内細菌がマウスの性格や行動傾向に影響をおよぼすこと、特に乳酸菌は心の状態に良い影響をおよぼすことは確かなようです。

解明され始めたサイコバイオティクスの驚くべきはたらき

腸と脳(心)の状態が密接に関連していることは、実は、かなり古くから認識されていました。19世紀には、うつ病は腸に老廃物が溜まることで発症すると考えられ、うつ病を治療する目的で下剤が使われることがあったそうです。その後、研究が進み、腸と脳は自律神経を介して相互に影響をおよぼし合っていることが分かってきました。たとえば、脳がストレスを感じると、その情報が脳から自律神経を通じて腸へと伝わり、下痢をしたり便秘になったりします。逆に、腸のはたらきが乱れると、その情報が腸から脳へと伝わり、不安やストレスを感じるのです。この仕組みに深く関わっているのが、プロバイオティクス(善玉菌)の中でも心の状態を整える働きがある乳酸菌などのサイコバイオティクスです。

サイコバイオティクスとそのはたらきを助ける食事で腸内環境を改善

クライアン教授と同じコーク大学で精神医学を研究するティモシー・ダイナン教授は、2013年の論文で、サイコバイオティクスとは、「十分な量を摂取すると、精神疾患をわずらっている患者に健康効果がある生菌」と定義しています。
まだ完全に解明されていないサイコバイオティクスですが、腸内環境を整えることは、身体はもちろん心にも良い影響をおよぼすことは確かなようです。
では、どうしたら腸内環境を上手く整えることができるでしょうか。その有効な方法の一つが食事です。食品やサプリメントでサイコバイオティクスである乳酸菌やビフィズス菌を摂取するだけでなく、その繁殖やはたらきを助ける物質(プレバイオティクスと言います)を含む食物を意識的に摂ることが重要です。

ここでは代表的な3つのプレバイオティクスとそれを含む食材をご紹介します。

●オリゴ糖
ヤーコン、きな粉、甜菜糖(※)、インゲン、ゴボウ、小豆、たまねぎなど

※甜菜糖は、加工の方法によってはオリゴ糖を含まないものがあります。購入・使用の際には成分表示を確かめてください。

●食物繊維
キノコ類、海藻類、寒天、コンニャク、押麦、ひよこ豆、小豆、大豆、干しいたけ、切干大根、抹茶など

※詳細は下記参照「食品100g当たりの食物繊維含有量」
http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/fiber.html

●発酵食品
納豆、チーズ、ヨーグルト、ぬか漬け、キムチ、お酢、味噌、醤油、甘酒など

 

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