心と栄養素の関係─3 心のための栄養素の基礎知識

心と栄養素の関係─3 心のための栄養素の基礎知識

心のための栄養素の基礎知識

「栄養素」と「食べ物」

もちろん、栄養素は脳にだけ働きかけるものではありません。
複雑かつ精妙な化学工場である人体の、すべての活動に深く関わっています。
そこで、ここでは栄養素とは何か、
どんな食べ物を食べるとどんな栄養素が摂れるのかについて説明します。

そもそも「栄養素」とは何か?

「栄養素」は、「生き物の体にエネルギーを補給するもの」「成長・発達・生命維持に必要なもの」「不足すると特有の生化学または生理学上の変化が起きる原因となるもの」のいずれかに当てはまり、通常、食品成分として消費される物質と定義され、具体的には、「糖質」「脂質」「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」の5つに大きく分けられます。
この5つすべてを指して「5大栄養素」と呼ぶ場合もありますが、厳密にいえば、これは間違いです。「糖質」「脂質」「タンパク質」はエネルギーを生み出す栄養素で、英語ではmacro-nutrientということから「3大栄養素」、「ビタミン」「ミネラル」はエネルギーを生み出さない栄養素であり、英語ではmicro-nutrientということから「微量栄養素」と呼ぶのが正しいのだそうです。
なお、これらの栄養素のほか、「水」と「食物繊維」も生命活動には欠かせない成分です。

3大栄養素とは何か?

炭水化物(糖質)

【役割】
炭水化物は、体内に消化吸収される「糖質」と消化吸収されない「食物繊維」とがあります。糖質は体を動かすエネルギーとなりますが、脳は糖の中でもブドウ糖だけをエネルギーとしています。また、食物繊維は腸内の有害物質の排出を助ける役割を果たしています。

【不足すると/多すぎると】
糖質が不足すると、疲れやすくなったり、頭の働きが鈍る可能性があります。
多く摂りすぎると、肥満、高脂血症、脂肪肝の誘因となります。

【多く含む食品】
白米、餅、押し麦、コーンフレーク、パン、緑豆はるさめ、そうめん、パスタ、片栗粉、小麦粉、砂糖、コーンスターチ、はちみつ、さつまいも、やまいも、かぼちゃ、干しブドウ、干し柿、ドライプルーン、あずき など

脂質

【役割】
脂質は、常温で液体の「油」と固体の「脂」とがあり、いずれも体を動かすエネルギーになります。また、さらに、人の体ではつくり出すことのできない必須脂肪酸は、神経組織、細胞膜、ホルモンなどをつくるのに欠かせません。

【不足すると/多すぎると】
脂質が不足すると、疲れやすくなったり、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)が吸収されにくくなり体調を崩す可能性があります。
多く摂りすぎると、肥満、動脈硬化、高脂血症などの誘因となります。

【多く含む食品】
植物油、ラード、ショートニング、ラー油、バター、マヨネーズ、生クリーム、ホイップクリーム、コーヒーミルク、クリームチーズ、卵黄、牛バラ肉、フォアグラ、あんこうのきも、サラミ、ベーコン、レバーペースト、豚バラ肉、クルミ、クリ、ピーナッツバター、ポテトチップス、チョコレート

タンパク質

【役割】
タンパク質は、「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に大きく分けられます。体内に摂取されるとアミノ酸に分解され、体の組織となるほか、神経伝達物質・ホルモン、酵素の原料にもなります。また、エネルギー源としても使われます。アミノ酸は20種類ありますが、このうち9種類は体内でつくり出せないため、食事から摂る必要があります。

【不足すると/多すぎると】
タンパク質が不足すると、病気になりやすくなったり、肌荒れや抜け毛、免疫力低下が起きることがあります。また、成長期であれば十分に発達できない可能性があります。
多く摂りすぎると、体内で脂肪に変わり肥満の原因になるほか、タンパク質を分解する肝臓に負担がかかり肝機能が悪化する場合もあります。

【多く含む食品】
動物性:いくら、たらこ、あじ、まぐろ赤身、かつお、さんま、たい、いわし丸干し、かつおぶし、たたみいわし、煮干し、するめ、ビーフジャーキー、生ハム、鶏ささみ、鶏むね肉、豚ヒレ肉、牛モモ肉、豚モモ肉、豚レバー、豚足、コンビーフ(缶詰)、パルメザンチーズ、プロセスチーズ

植物性:凍り豆腐、きな粉、大豆、小豆、焼き麩、ピーナッツ、ゴマ、カシューナッツ、アーモンド、ピスタチオナッツ、クルミ、松の実、油揚げ、納豆、がんもどき、厚揚げ、豆腐

微量栄養素とは何か?

ビタミン

【役割】
ビタミンは全部で13種類あり、種類によって役割は異なりますが、いずれも心身の調子を整えるのに不可欠な栄養素です。体内でつくることができなかったり、できても必要十分な量ではなかったりするため、食べ物から摂取しなければなりません。

【ビタミンの種類と特徴】

種類 不足すると 摂りすぎると 主な食品
ビタミンA 乾燥肌、視力低下、細菌やウィルスへの抵抗力低下 吐き気、頭痛、めまい、肝臓障害、胎児への影響 レバー(鶏・豚・牛)、あんこうのきも、うなぎ、あなご、銀だら、卵黄、乳製品、
シソの葉、ニンジン、モロヘイヤ、ホウレン草、明日葉、春菊、ニラ、小松菜、クレソン、カイワレ大根、葉ネギ、海苔、抹茶
ビタミンB1 倦怠感、体重低下、心悸亢進、かっけ 必要以上に吸収されないため、ほぼ心配はありません。 豚肉、鶏肉、レバー、ハム、ベーコン、うなぎ、こい、たい、たらこ、すじこ、卵、グリーンピース、きな粉、こんぶ
ビタミンB2 発育・成長不全、口角炎、口内炎、舌炎、皮膚炎 しびれ、かゆみ(※1) レバー、卵、チーズ、いわし、うなぎ、納豆、小麦胚芽、アーモンド、わらび、モロヘイヤ
ビタミンB6 湿疹、舌炎、貧血、脳波異常、免疫力低下 感覚神経障害、骨の痛み、精子数減少(※1) レバー、鶏肉(ささみ、むね肉)、牛肉、豚肉、カモ肉、まぐろ、かつお、さけ、さんま、あじ、かつおぶし、ニンニク、ししとう、赤ピーマン、モロヘイヤ、芽キャベツ、切り干し大根、干ししいたけ、ゴマ、ピスタチオ、抹茶、酒粕
ビタミンB12 悪性貧血、神経障害、記憶障害、うつ、疲労(※2) 必要以上に吸収されないため、ほぼ心配はありません レバー、モツ、タン、鶏砂肝、マトン、卵黄、貝類、いか、しゃこ、たらこ、干しエビ、いわし、身欠きにしん、さば、ししゃも

※ビタミンB12は植物性食材には含まれていません。

ビタミンC 歯肉炎、貧血、倦怠感、食欲不振、脱力、壊血病 吐き気、下痢、腹痛、腎結石リスク(※1) ハム、ベーコン、めんたいこ、ピーマン(赤、黄、緑)、ゴーヤ、水菜、ブロッコリー、カリフラワー、紫キャベツ、かいわれ大根、レモン、キウイ、パパイヤ、きんかん、海苔
ビタミンD くる病、骨軟化症、骨粗しょう症リスク 腎障害、軟組織の石灰化、嘔吐、食欲不審(※1) あんきも、身欠きにしん、いわし丸干し、しらす干し、かわはぎ、さけ、さんま、ひらめ、あゆ、たちうお、かれい、きくらげ、干しシイタケ
ビタミンE 感覚障害、神経症状、未熟児貧血 血が出やすい(※1) あんきも、うなぎ、いか、はまち、めかじき、あなご、魚卵、えび、かに、うに、卵黄、アーモンド、松の実、ピーナッツ、トウガラシ、モロヘイヤ、オリーブ(ピクルス)、海苔、抹茶、植物油
ビタミンK 鼻血、月経過多、血が止まりにくい、骨粗しょう症(※3) とくになし 鶏肉、鶏モツ、ラム、あいがも、牛肉、豚肉、うに、あわび、卵黄、納豆、油揚げ、高野豆腐、がんもどき、厚揚げ、パセリ、シソ、モロヘイヤ、明日葉、春菊、バジル、小松菜、ほうれん草、菜の花、抹茶、乾燥わかめ、ひじき、海苔、植物油
ナイアシン 食欲不振、消化不良、皮膚炎、下痢、記憶障害 消化不良、下痢、肝臓障害(※1) レバー、鶏肉、モツ(牛、豚)、ベーコン、ハム、コンビーフ、たらこ、するめ、いか、かつおぶし、かつお、煮干し、まぐろ赤身、いわし、さば、さんま、くじら、トウガラシ、干しシイタケ、マイタケ、エリンギ、ピーナッツ
パントテン酸 成長障害、頭痛、疲労、知覚障害 とくになし レバー、鶏肉、鶏モツ、卵黄、たらこ、筋子、あわび、子持ちかれい、たたみいわし、納豆、きな粉、モロヘイヤ、切り干し大根、カシューナッツ、抹茶
葉酸 悪性貧血、胎児の発育不全、脳卒中や心筋梗塞のリスク 神経障害、発熱、じんましん(※1) レバー、フォアグラ、うに、たたみいわし、すじこ、ほたて、きな粉、小豆、大豆、枝豆、モロヘイヤ、芽キャベツ、菜の花、アスパラガス、クレソン、青ネギ、そら豆、サニーレタス、ブロッコリー、オクラ、納豆、ゴマ、クリ、クルミ、海苔、ひじき、めかぶ
ビオチン 食欲不振、吐き気、皮膚炎、うつ、抜け毛、運動失調、知覚過敏(※4) 必要以上に吸収されないため、ほぼ心配はありません レバー、かれい、いわし、あさり、ししゃも、卵黄、納豆、大豆、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、黒砂糖


(※1)通常の食生活では心配ありませんが、サプリメントなどからの大量摂取に注意が必要です。
(※2)極端な偏食や胃腸を手術で切除した場合など以外は、ほぼ心配ありません。
(※3)通常の食生活では心配ありませんが、抗生剤を長く服用している場合など不足する場合があります。
(※4)通常の食生活では心配ありませんが、生卵白を多量に長く摂取すると不足する場合があります。

ミネラル

【役割】
地球上に存在する元素で、水素、炭素、窒素、酸素以外を「ミネラル」と呼びます。およそ100種類ほどある中で、現在までに人間の栄養素として欠かせないことが分かっているものは16種類。骨などの体の組織を構成したり、心身の調子を整えるのに使われています。必要量は微量ですが、体の中でつくることができないため、食べ物から摂る必要があります。

【必須ミネラルの種類と特徴】

種類 不足すると 摂りすぎると 主な食品
ナトリウム 食欲不振、吐き気、筋肉痛、錯乱、昏睡、痙攣 高血圧、胃がん、浮腫 サラミ、ハム、ベーコン、煮干し、しらす干し、いわし丸干し、いかの塩辛、貝の佃煮、干しエビ、梅干し、ぬか漬け、ザーサイ、味噌、昆布茶、わかめ、そうめん、コーンフレーク、フランスパン
マグネシウム 骨粗しょう症、神経疾患、精神疾患、不整脈 下痢、高マグネシウム血症(※1) あさり、はまぐり、かき(貝)、干しエビ、するめ、煮干し、たたみいわし、切り干し大根、きな粉、油揚げ、高野豆腐、チーズ、あおさ、抹茶、ココア
リン 食欲不振、倦怠感 腎機能低下、副甲状腺機能亢進、カルシウムの吸収阻害 卵、レバー、ハム、きんめだい、あゆ、しらこ、ししゃも、とびうお、煮干し、たたみいわし、するめ、干しえび、小魚の佃煮、高野豆腐、チーズ
硫黄 皮膚炎、爪・髪の発育阻害 通常の食生活では心配ありません。 肉(鶏、豚、牛、ラム)、えび、貝類、ニンニク、ニラ、タマネギ、ネギ、アスパラガス、小麦粉、牛乳、チーズ
塩素 消化不良、食欲低下、抜け毛 とくになし 食塩、味噌、しょうゆ、梅干し
カリウム 高血圧、不整脈、頻尿、手足のしびれ・痙攣、むくみ、食欲不振 高カリウム血症、感覚異常、脱力感 鶏ささみ、豚ヒレ肉、牛ヒレ肉、煮干し、あゆ、たい、あじ、さわら、切り干し大根、カンピョウ、ニンニク、ホウレン草、枝豆、芽キャベツ、タケノコ、カボチャ、セロリ、ニラ、アボカド、大豆、納豆、干しブドウ、干し柿、ピスタチオ、ピーナッツ、アーモンド、オートミール
カルシウム 骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化、認知障害、肥満、糖尿病、免疫異常 泌尿器系結石、他のミネラルの吸収阻害(※2) 干しエビ、しらす干し、煮干し、あゆ、わかさぎ、エンドウ豆、モロヘイヤ、切り干し大根、ゴマ、高野豆腐、ひじき、わかめ、こんぶ、チーズ、牛乳、ヨーグルト、抹茶
クロム インスリン感受性低下、チッ素代謝異常、角膜障害 嘔吐、下痢、腹痛、肝障害、中枢神経障害(※3) レバー、牛肉、ベーコン、コンビーフ、あさり、しじみ、はまぐり、ブロッコリー、タケノコ、ホウレン草、キャベツ、油揚げ、チーズ、ひじき、海苔、そば
マンガン 骨格異常、糖質代謝障害、生殖機能低下、運動失調(※4) 精神障害、中枢神経障害(※3) 干しえび、めざし、貝の佃煮、ショウガ、シソ、バジル、カンピョウ、モロヘイヤ、セリ、ミョウガ、パイナップル、干し柿、キクラゲ、クルミ、ゴマ、あおさ、海苔、ひじき、昆布、日本茶
貧血、運動機能・認知機能・体温保持機能・免疫機能の低下 便秘。胃腸障害、鉄沈着、亜鉛吸収阻害(※1) レバー、牛肉、牛モツ、干しエビ、あさり、煮干し、卵、切り干し大根、パセリ、トウガラシ、ゴマ、松の実、キクラゲ、海苔、ひじき、カレー粉、コショウ、黒砂糖、抹茶
コバルト 悪性貧血 甲状腺機能低下、血圧低下、呼吸機能低下 レバー、うなぎ、すじこ、しじみ、赤貝、ほっき貝、煮干し、いわし、たたみいわし、貝の佃煮、海苔、インゲン、ワラビ
白血球減少、骨の異常、成長障害、免疫機能低下 通常の食生活では心配ありません。 牛レバー、しゃこ、ほたるいか、たこ、かき(貝)、えび、干しえび、かに、いかの塩辛、納豆、ゴマ、きな粉、カシューナッツ、松の実、ココア
亜鉛 味覚障害、食欲不振、皮膚炎、免疫力低下、下痢 胃障害、めまい、吐き気、他のミネラルの吸収阻害(※3) レバー(豚、牛)、牛肉、マトン、卵、かき(貝)、ほや、あわび、ほたて、かに、しゃこ、たらこ、煮干し、チーズ、そら豆、枝豆、高野豆腐、切り干し大根、小麦、焼きふ、ゴマ、抹茶、ココア、カレー粉、酒粕
セレン 細胞障害 爪の変形、抜け毛、胃腸障害、下痢、抹消神経障害、疲労感(※2) レバー、あんきも、まぐろ、かれい、かつお、あじ、さば、ぶり、いわし、うなぎ、ひらめ、かき(貝)、いか、かに、かつお節、たらこ、卵、エンドウ豆、ヒマワリの種、カシューナッツ、アーモンド、パン
モリブデン 多呼吸、夜盲症 通常の食生活では心配ありません。 牛レバー、ハム、ベーコン、あさり、にしん、もやし、納豆、あずき、大豆、エンドウ豆、インゲン、がんもどき、豆乳、豆腐、ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンド、そば、うどん
ヨウ素 甲状腺肥大、甲状腺腫、心身発達異常、運動障害 甲状腺機能低下、体重減少、筋力低下 たら、あわび、さざえ、うなぎ、ししゃも、かき(貝)、あさり、こんぶ、ひじき、あおのり、わかめ、卵、あずき、エンドウ豆


(※1)通常の食生活では心配ありませんが、治療用薬剤を使っている場合は注意が必要です。
(※2)通常の食生活では心配ありませんが、サプリメントなどからの大量摂取は注意が必要です。
(※3)通常の食生活では心配ありません。
(※4)研究が十分に行われていないため、まだ明確にはされていません。

次は…知っていますか?「心」と「食事」の良い関係

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