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睡眠関連食行動障害

心の病気のための睡眠学コラム─第2回 若い女性には珍しくない? 睡眠関連食行動障害

若い女性には珍しくない? 睡眠関連食行動障害

近年、20代~30代の女性を中心に増えている睡眠障害に、睡眠関連食行動障害(Sleep Related Eating Disorder:SRED)があります。睡眠関連摂食障害ともいわれ、睡眠中、無意識に飲食する病態です。寝入ってから1~2時間後に起きることが多く、起き出して食べ物のあるところへ行ったり、カップめんなどを調理して食べたり、コンビニへ買い物に行くといったケースも報告されています。食行動の最中に声をかけると、それなりに応答しますが、いわゆる「寝ぼけ」状態で、朝起きるとまったく覚えていないことがほとんどです。こうしたことから、SREDは、ノンレム睡眠(脳が休息している状態の睡眠)のあとに引き続き起き、同様の状態で起きる睡眠時遊行症(夢遊病)と関連が深い病態だと考えられています。

SREDの食行動では、なぜか炭水化物や高カロリーのものを食べる傾向にあるそうです。また、未調理のものやアレルギーで普段は避けているもの、ペットフード、台所洗剤などを口にすることも。眠りが妨げられるだけでなく、肥満、無意識化で調理や食事をすることによる負傷、中毒などのリスクもある病態ですが、SREDを直接治療する定まった方法は今のところありません。しかし、体内リズム(サーカディアンリズム)の乱れと寝不足が影響しているケースが多いことから、生活リズムを整え、十分な睡眠をとれるようにすることが大事だと考えられます。なお、一部の睡眠薬の過度な使用が、SREDを喚起するとの報告もあるので、睡眠薬の使用には十分な注意が必要です。

参考:
精神経誌112巻9号「睡眠関連食行動障害」井上雄一/駒田陽子 ほか

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