心に働く運動:サーフィン
マリンスポーツのなかでも人気の高いサーフィンが、近年、うつ病や双極性障害、PTSDなどの精神疾患の行動療法として注目を集めています。
イギリスをはじめとする各国で、ヨガやカウンセリング、グループディスカッションと併せたサーフィンセラピー(サーフセラピー)がおこなわれ、海でサーフィンをすることが精神的な不安を解消し、自尊心を芽生えさせるなどのセラピー効果があるという調査結果も報告されています。
サーフィンが心と体にもたらす影響
●精神的不安の解消
海のなかでは波に乗るための集中力が必要です。サーフィンに夢中になることで、日常のストレスや不安感を忘れ、安定した精神状態へと導くことが期待できます。また、体を動かすことで血行が促進されリフレッシュ効果も高まります。
●自信がつき、自尊心が芽生える
医師がおこなった調査では、うつ病などの精神疾患を抱えた人がサーフィンセラピーを実施することにより、自尊心が芽生えたという報告があります。また、自信を持てるようになり生活の質が向上したというセラピー効果も確認されています。
●脳内物質が分泌される
海で自然界のマイナスイオンを浴びることで、幸福感を高めるエンドルフィンや精神の安定に関わるセロトニンなどの脳内物質が分泌されます。これによりストレス反応や不安が調節され、精神疾患症状の緩和に効果が期待できます。
●忘れられない爽快感で「次回」が楽しみになる
サーフィンセラピーは、セラピーを受けているというよりも、サーフィンレッスンを受けているような感覚でリラックスして取り組むことができます。うまく波に乗れたときの爽快感は格別で「サーフィンをして楽しかった」という経験が「また海へ行きたい」という欲求を生みます。英国のラフバラー大学では、調査対象であった自殺志願者のひとりが、定期的なサーフィンセラピーにより最低でも一週間ずつ自殺行為の実行を延期したという論文を発表しています。
●運動効果が高い
サーフィンは全身の筋肉をまんべんなく使うため、運動量が多く、2時間でおよそ500キロカロリーを消費するとされています。また、波に乗るためにはバランス感覚を要するので、波の動きに合わせてボードに立つ動きをするうちに自然とインナーマッスルを鍛えることができ、ダイエット効果も期待できます。心や体によい影響をもたらすサーフィンですが、耳の聞こえが悪くなったり偏頭痛が生じるサーファーズイヤーという症状や日焼けによる皮膚がん、眼病、腰椎椎間板ヘルニアなどのリスクも伴います。また、体調が思わしくないときや天候の悪化などの際は、無理をせずに諦める勇気も必要です。夢中になればなるほど忘れてしまいがちなリスク対策をしっかりすることもサーフィンを楽しむうえでは大切です。
サーフィンをはじめるには
サーフィンをはじめるのは、ほかのスポーツと違って少し敷居が高く感じられるかもしれません。自分で調べてサーフボードやウェットスーツなどを揃えても、すぐにひとりでサーフィンがはじめられるかというとなかなか難しいものです。自己流ではじめてうまくいかず、挫折してしまっては意味がありませんし、サーフボードなどの購入にかかる初期費用は決して安いものではないので、簡単に諦めてしまうには手痛い出費となります。
そこで、「やってみたい」と思ったら、まずはスクールの体験レッスンに参加してみるのがおすすめです。初心者や中高年向けのスクールを開催していたり、サーフボードなどのレンタルをおこなっている場合もあります。ウェブサイトで検索・予約可能なところもあるので、自分に合ったスクールを探してみるといいでしょう。スクールの利点は、何と言ってもプロが指導してくれること。テクニックの基礎はもちろん、海でサーフィンを楽しむためのルールやマナーも身につけることができます。そして、サーフィンはやりはじめると顔見知りが増え、仲間もできやすいので、長く続けるためのモチベーション・アップにもつながります。
<初心者や中高年のための講座>
https://www.jalan.net/news/article/179501/