「見つめ合う」というシンプルなパフォーマンスが人生に変容をもたらす
バラの花や水、ナイフやハサミなど76のアイテムに
「自由に使ってください」というメッセージを添えて、
自らの肉体を6時間観客に差し出す。
パートナーに自分の胸に向けたボーガンの弓矢を引かせる。
時に自分を傷つけることをも受容し、センセーショナルなパフォーマンスで、
世界に強いメッセージを発信し続けるパフォーマンスアーティスト、
マリーナ・アブラモヴィッチ氏。
一見、狂気的にも見えますが、一方で観客やパートナーへの
信頼や愛がなければ成立しえないパフォーマンスでもあります。
そんなマリーナ氏が、自らの人生を変えたと語るのが、
MOMAで行われたパフォーマンスです。
パフォーマンスはとてもシンプルなもの。
向かい合う2つの椅子の一方にマリーナが座り、
もう一方の席には観客が自由に座ることができるだけです。
3カ月間、開館から閉館までマリーナは椅子に座り続けました。
そして、彼女の向かいの椅子に座ろうと何時間も待ち続けた観客が、
その椅子に座りマリーナとただただ見つめ合ったとき、一体何が起きるのか?
「人間は死ぬことや、苦痛、恐怖など単純なものをいつも恐れている。
それを解放するには、シンプルな手法で自分と向き合うことが大切だ。そして…」
と語るマリーナ氏。
ハードなアートを数々生み出してきた彼女が、辿り着いたもの。
私たちの人生において、もっとも失いやすいものであり、
心を豊かに生きるためにもっとも必要なエッセンスとは何かを、
彼女は垣間見せてくれます。
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マリーナ・アブラモヴィッチさんのTEDでのプレゼン
「信頼、弱さ、絆から生まれるアート」