心の病気のための運動学コラム 第3回 心の病気を改善するために必要な運動時間

心の病気のための運動学コラム 第3回 心の病気を改善するために必要な運動時間

運動は短い時間でもメンタルヘルスに効果がある

メンタルヘルスの改善、向上において運動療法が有効であることはこれまでも紹介してきました。では、実際に運動を行うとき、どのくらいの時間を目安に行うことが効果的なのでしょう。気になりますよね?

実は最近の研究によると、運動時間にかかわらず、短い時間であってもメンタルヘルスに何らかの改善効果が出ることが明らかになってきました。

ある研究(Dunn AL氏らによる「うつ病の運動療法:有効性と用量反応」, 2005 )では、20〜45歳の大うつ病性障害の患者を運動内容や運動量を異なる設定にした3グループにわけて12週間続けてもらったところ、低下レベルには差があるものの運動時間の長短や負荷強度の高低にかかわらず、抑うつ度の軽減に効果があることが示されました。ほかにも、オーストラリアの研究者が中心となって実施される国際的な大規模研究「HUNT研究研究」の一環として、ノルウェー在住の成人の運動習慣とうつ病や不安障害の発症について追跡調査したところ、週に1〜2時間の運動をしているだけの人でも、運動をまったくしない人に比べると、うつ病発症リスクが運動していない人のほうが44%も増加していることが報告されました。

では、運動時間を長くすれば、メンタルヘルスへの効果がさらに高まるのでしょうか。

英国国立医療技術評価機構(NICE:National Institute for Health and Clinical Excellence)のうつ病診療ガイドラインでは、1回の運動時間は45〜60分が効果的と示されています。同じように、米テキサス大学でも、1回45〜60分の有酸素運動を週3回行うのが望ましいと精神科チームが複数の研究結果より考察し報告しています。

運動は少ない時間でも有効ですが、より高い効果や効率的な運動法を目指すなら、週3回45〜60分の有酸素運動を行うのが理想といえるでしょう。

<まとめ>
短い運動時間であってもメンタルヘルスに一定の効果があることが研究でわかってきた

●メンタルヘルスにより好影響を与える理想的な運動時間は、週3回、1日45〜60分の有酸素運動

無理のない範囲で習慣化していくこと

NICEが推奨する45〜60分の運動を週3回以上行うということは、日常生活のなかで難易度が高いという人もいるかもしれません。また、心が沈んでいたりする場合には、気力が目標についていかないことも多いでしょう。しかし、上で紹介したようにたとえ短い時間であっても、メンタルヘルスには有効な結果が多くでているのが運動療法ですから、大切なのは続けて習慣にしていくことです。

現在、メンタルヘルスにもっとも有効な運動は有酸素運動とされていますが、ストレッチや筋力トレーニングでも心にはよい影響を与えてくれることがわかっています。

1度に45分できない場合は、10分でもいいから歩いて軽く体を動かしたり、ストレッチを行う、その場でスクワットしてみたりするだけでも十分でしょう。

45分の運動時間がとれないからと、あきらめずに自分が無理なくできる範囲で運動を続けていくことが、メンタルヘルスを健全に維持するために、とても有効だといえるでしょう。

<まとめ>
●健全なメンタルヘルスを維持するには、運動を継続し習慣化することが大切

●運動の種類もストレッチや歩くなど、自分ができる範囲でOK

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