眠りの悩み克服に向けて─3 眠りを誘う灯りと色

眠りの悩み克服に向けて─3 眠りを誘う灯りと色

眠りを誘う灯りと色

眠りホルモンとして、近年研究が進んでいるメラトニン。このホルモンは、日中に強い光を浴びることで、夜に多く分泌されることが解明されており、不眠症の治療にも役立つとして注目を集めています。ここではメラトニン分泌の仕組みと、光と色をうまく使ってメラトニンをコントロールし、眠りを引き寄せるコツをご紹介します。

「眠りホルモン」メラトニンと光の深い関係

メラトニンは脳から分泌されるホルモンの一種です。日中は分泌量が少なく、夜になると分泌量が多くなります。血中にメラトニンが増えると、心と身体を緊張状態にする交感神経が抑制され、リラックスさせる副交感神経の働きが強まります。すると、体温が低下して呼吸や脈拍が穏やかになり、血圧が低くなるといった「休息モード」に切り替わり、人は眠気を感じます。つまり、血液中のメラトニン濃度が高くなることで人は眠くなるのです。
メラトニンは、普通であれば21時ぐらいになると自然に増加してきますが、目から取り込む光の強さによって分泌量が大きく左右されます。従来は2500ルクス以上のかなり強い光を浴びないと影響はないと思われていましたが、最近の研究によると300ルクス程度の光でも長時間浴び続けるとメラトニンの分泌が抑制されるということが分かっています。一般的な部屋の照明は500ルクス程度なので、それだけですでにメラトニンの分泌を阻害していることになります。就寝1時間前になったら部屋全体を明るくする蛍光灯は消し、間接照明に切り替えて部屋を暗くするといいでしょう。また、寝室の窓のカーテンは、頭側は外の光を遮断して眠りやすくするために遮光カーテンを閉め、足元側の半分は朝日を取り入れられるようレースカーテンのみにしておくと目覚めやすくなります。

光の波長(色)もメラトニン分泌に関与

光の強さによって分泌量が変化するメラトニンは、実は、色にも大きく左右されることが解明されています。仙台医療センターの実験によると、メラトニンの分泌を阻害しない色はオレンジ。光の波長が長いため、リラックス効果が期待できると考えられています。リラックス効果があるとされるろうそくの炎や夕焼けも赤色系です。逆に、青色の光は瞳孔が収縮してまぶしいと感じるため、メラトニンの分泌を阻害してしまいます。寝る前にテレビを観たり、パソコンをつかったりすることで眠れなくなるのは、画面から発せられる強い青色の光(ブルーライト)が瞳孔を強く刺激してメラトニンを抑制してしまうことが原因とされています。
寝室に使用する照明は、青色蛍光灯は避けて優しい暖色系の白熱灯に。できればダウンライトや間接照明を取り入れて、部屋全体を照らさない照明方法に変えてみてはいかがでしょうか。最近では仕事、食事、団らん、就寝などのシーンに合わせて色を調整できる照明器具も販売されていますので、活用すると良いでしょう。

安眠にはオレンジの灯り+青のインテリア

一方、色彩心理学では、赤、オレンジといった暖色系は交感神経を優位にして気持ちを盛り上げる作用があり、青は副交感神経が優位になって心が落ち着く鎮静効果があることが知られています。また、薄い茶も気持ちが落ち着きやすく、森や木の葉を連想させる緑はリラクゼーション効果が期待できます。照明とは正反対ですが、人間の脳は色の刺激と光の刺激は別のものとして認識するため、このような反応が起きるのです。
以上のことから、色と光の面で考えた場合、インテリアは青、緑、茶系でまとめ、照明はオレンジの間接照明にするのが理想的な「安眠環境」といえるでしょう。部屋全体をリフォームしたり家具を買い替えるのは難しい場合、まずは手軽なアレンジとしてシーツや布団カバー、カーテンなどサイズが大きいファブリック類をチェンジすると良いでしょう。いずれも視覚的な面積が広いので、一つ変えるだけでも部屋の印象がずいぶん変わるはずです。また、コーディネートする際はキーカラーのグラデーションにするか、多くても3色程度に収めるようにすると、部屋全体がまとまって落ち着いた空間を演出できます。

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