認知行動療法を知る つらさの原因を分析して解決法を見出す・問題解決療法(PST)

認知行動療法を知る つらさの原因を分析して解決法を見出す・問題解決療法(PST)

問題に気づき、トライ&エラーでゴールを探す

いつもマイナス思考をしてしまう、他人から見れば些細なことが気になって仕方ない、周囲から自分だけ浮いている感じがして不安…。これではいけないと思うけれど、どうして良いか分からずストレスやプレッシャーだけが増えていく。そんな状況に陥ったとき、私たちの意識「うまくいかないこと」「困ったこと」に捉えられてしまい、身動きできなくなってしまう傾向があります。たとえば、通勤途上で「事故に遭ったらどうしよう」とか「怪我をして働けなくなったら家族が露頭に迷ってしまう」といった考えが起きると、不安で頭がいっぱいになり、その不安を心が処理できなくなってしまうのです。

そうした自分の考え方の傾向(問題)に気付き、それをありのままに受け入れた上で、そこから脱却するための方法をトライ&エラーで見出していくのが問題解決療法(PST=Problem-Solving Therapy)です。イギリスで開発されたプライマリーケア(一次医療:幅広い健康上の問題を統合的に扱う医療分野)のプログラムをベースに、がんや心臓病など精神的ストレスの多い患者の心の問題解決のためにアレンジしたもので、精神疾患分野においても、うつ病をはじめさまざまな症状への対処法として用いられています。

問題解決療法(PST)では、5つのステップからなるプログラムに基づいて、自分が抱える問題の全体像を把握し、それがどうなれば問題でなくなる(=解決した)といえるかを考え、そのためにはどうすれば良いか、今できることは何かを洗い出し問題解決を目指します。問題を一度に解決しようとせず、細分化してできるところから対処していこうという考え方です。心の不調を抱えている人は、思考が混乱したり偏ったりしがちですが、ステップを踏んで問題に取り組むことにより、物事を論理的にとらえたり柔軟に対処できるようになるのです。また、医師やカウンセラー、セラピストのサポートを受ける場合もありますが、心の問題に自ら向き合い、小さなことから一つひとつ取り組んで解決できるようになることは、大きな自信につながります。ただし、突き詰めて考えたり、これまでとは違う行動パターンを実行したりすることもあるため、心身にそれなりの負担がかかります。重症の人は、まず他の療法で状態をある程度改善する必要があるでしょう。

<問題解決療法(PST)が向いている人・状態>

  • 適応障害
  • 全般性不安障害(情緒不安定)
  • (軽度の)うつ病
  • 統合失調症
  • 摂食障害
  • アルコール依存症・薬物依存症
  • がん、およびその他の身体疾患患者のメンタルケア など

問題解決へと至るための具体的なステップ

問題解決療法(PST)は、以下のステップで行われます。

ステップ1:問題解決志向性

今、自分にとって何が問題なのかなぜそれが問題なのかを明確にします。

(例)職場で自分の話し方が同僚や上司を怒らせることが多く、コミュニケーションがうまくいかない。

ステップ2:問題の明確化/目標設定

問題に関して、どんな状態を目指すのかを決めます。

(例)相手を怒らせないで意図を伝えられるようになる。

ステップ3:対策の洗い出し

どうしたら相手を怒らせないで意図を伝えられるか、固定観念にとらわれず、できるだけ多くの対策を考えます。

(例)笑顔を心がける、相手が忙しくないときに話しかける、言葉づかいに気をつける、端的に話す、相手の話をさえぎらない、等々

自分だけで考えても構いませんが、発想に限界があると感じたら、カウンセラーや家族、友人などに手伝ってもらいブレーンストーミングを行うと良いでしょう。

ステップ4:問題解決策の選択/決定

ステップ3で上げられた対策の中から、今すぐできるものをピックアップし、一定期間実行してみます。

(例)言葉づかいに気をつける。

ステップ5:問題解決策の実行/評価

実行してみてどのくらい効果があったか、今後も継続していくべきかを検証・検討します。

(例)言葉づかいに気をつけた。

→おおむね相手の反応が穏やかになった。
→敬語を間違ったことで不快にさせてしまった。
→言葉づかいを気にして回りくどい言い方になり、イラつかせた。

・・・失敗もあったが、おおむね良い結果が出ているので継続すべき。

実行した対策を検討してみた結果今後も続けるべきではないという判断に至ったときは、ステップ4に戻って、新たな対策を実行します。実行と検証を繰り返し自分にあった解決法見出していきます。ステップ3で洗い出した方法をすべて実行しても問題解決の糸口が見いだせないときは、再度ステップ3からやり直します。

このような作業は、最初はとても面倒に思えるかもしれません。たくさんの解決法を考えたり、ときには勇気の必要なことを実行したりするのは、逆にストレスを感じてしまうかもしれません。さまざまな解決法を試してみても、なかなかうまくいかないかもしれません。そんなときは、「成果を上げなければ」「こんなこと続けても無駄なのでは?」などの焦りや疑念が沸き起こってくるでしょう。でも、そこにとらわれることなく、対策を実行していきましょう。ただし、作業を進めるうちに不安感や落ち込みが強くなったり、強い疲労感を感じたりしたときは、いったん作業をやめて医師やカウンセラーに相談してください。

問題解決療法(PST)は、心療内科精神科の病院およびクリニック、カウンセリングオフィスなどで受けることができます。ただし、どこでも行っている治療法ではありません。また、病院やクリニックでは、薬物療法と並行して行うところとそうではないところがあるようです。「問題解決療法 クリニック」「問題解決療法 臨床心理」などで検索して、受けてみたいと思えるところを探してみましょう。カウンセリングオフィスなどでは、比較的手軽なワークショップを定期的に開催しているところもあります。具体的な内容や期間、料金などは治療機関によって異なるので、詳しく知りたいときは、直接問い合わせてみてください。また、下記のようなワークシートを使い、セルフカウンセリングを行うことも可能です。

●ワークシート見本1:http://bit.ly/2uvGKy2

●ワークシート見本2(簡易版):http://bit.ly/2uvQwQV (P137のみ)

 

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