認知行動療法を知る 勇気をもってトラウマと向き合う・持続エクスポージャー法(PE)

認知行動療法を知る 勇気をもってトラウマと向き合う・持続エクスポージャー法(PE)

PTSDにもっとも効果を発揮する認知行動療法

私たちの心と脳は、記憶からさまざまな恐怖を生み出します。たとえば、雨の夜道で暴力を振るわれた経験があると、暴力を振るった相手にだけでなく、その相手と似た背格好や服装の人、そのとき歩いていた道、夜の雨、暗がりなども恐怖の記憶構造のなかに組み込まれます。通常、こうした恐怖の記憶構造は時間とともに解消するものですが、場合によってはいつまでも残ってしまうことがあります。これがトラウマ(心的外傷)です。そして、何かの拍子にトラウマ反応が起こり、強いストレス状態に陥る症状をPTSD(外傷後ストレス障害)と言います。
PTSDのための認知行動療法の中で、アメリカの心理学者であるエドナ・B・フォア博士によって開発された持続エクスポージャー法(PE:Prolonged Exposure)は、もっとも確実で有効なプログラムであると、米国各機関により認められています。トラウマの治療法にエクスポージャー法(曝露法)があり、それをPTSDの治療に特化させています。PTSDの原因を「トラウマ記憶への回避」と仮定し、治療によって回避とは逆の直面化をあえて行い、記憶が思い出されたからといってまた傷つくのではないということを、患者(クライアント)に体験させるのです。これによって、恐怖体験の記憶を処理し、自然治癒を促します。この治療は、患者(クライアント)が抱いている不安怒り罪悪感といったネガティブな感情を軽減し、自分本来の生活を取り戻す効果的な方法ですが、そのプロセスにおいて不快感や苦痛が伴うことから、一時的に症状が悪化する場合があります。

<どんな人(状態)に効果が期待できるのか>

  • PTSDの基準を満たしている人
  • 基準を完全に満たしていなくても、明らかなPTSD症状で日常生活に支障のある人
  • トラウマ体験を記憶していて、それを語ることができる人

想像と現実でトラウマに向き合い、記憶を整理する

持続エクスポージャー法は、次の4つの手順で行われます。

①心理教育
PTSD、トラウマ反応についての説明を受けます

②呼吸再調整法
過呼吸が起きたときの対処法の説明を受けます

③現実エクスポージャー
トラウマによる苦痛や不安が引き起こされるために、クライアントが避けている状況や対象を繰り返し体験します

④想像エクスポージャー
想像のなかで、トラウマ記憶に立ち戻って話をします。何度も繰り返して行います。

実際の治療では、90分程度のセッションを週1~2回の頻度で10〜15回行います。加えて、毎回のセッションで宿題が出され、それにも取り組む必要があります。セッションは録画され、指導者や治療者が映像を見ることで治療をよりよい方向へと導いていきます。これらの手順を繰り返すことで、患者(クライアント)は、適切な処理を受けずにトラウマ化した記憶や、トラウマに関連した思考やイメージや状況に向き合い、自分と世界についての知覚を整えていきます。

ただし、下記の場合は、持続エクスポージャー法の治療に適応するように精神面や環境を整えることが先となります。

  • 自殺や他を害する恐れがあるとき、重度の自傷行為があるとき
  • 現在進行中の他の精神病の症状がある場合
  • PTSDの原因となった状態・環境が現在も続いているとき、またはそのリスクがあるとき
  • トラウマの明確な記憶がなかったり、記憶が不十分だったりする場合

なお、持続エクスポージャー法の治療者は、技法の習得に24時間の研修などのトレーニングを受ける必要があります。療法を受ける場合は、研修を受けた専門家のいるメンタルクリニック臨床心理士のカウンセリングルームを選びましょう。

持続エクスポージャー法についてもっと詳しく知りたい人は
下記サイトで問い合わせてみてください。

参考サイト:武蔵野大学心理臨床センター
https://www.musashino-u.ac.jp/rinsho/

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