認知行動療法を知る 「ありのまま」を受け入れる・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)

認知行動療法を知る 「ありのまま」を受け入れる・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)

問題や不安とうまくつきあう心理学的療法

日常生活において、私たちはしばしば悩みや問題、不安を抱え込みます。たとえば、仕事で成果を上げられない対人関係がうまくいかないといったことは、誰もが経験していることです。初めはほんの些細なきっかけだったとしても、「失敗してはいけない」「こうでなければいけない」という思いが強くなると次第に悩みや問題が自分の中で膨れ上がり、不安に支配され、心の健康を損なってしまう、ということもあるでしょう。

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT=Acceptance Commitment Therapy、アクトと呼ぶこともあります)とは、こうした悩みや問題、不安を抱える人たちに有用とされている心理療法のひとつです。マインドフルネス弁証法的行動療法に影響を受けた心理療法で、2000年頃にアメリカで始まり、次第に世界へと広まりました。

それまでの認知行動療法は、問題や苦痛、不安を取り除く、またはそれらに対する考え方を変えるという観点からの技法でした。一方、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、そのような解決や排除は行いません。苦痛も問題も不安も、コントロールすることなく、ありのままを受け入れるのです。そして、気分や感情にとらわれず、自分に価値のあることを見いだし、それを実行するための行動をすることを目指します。

<ACTが向いている人・状態>

  • パニック障害
  • 全般性不安障害
  • 強迫神経症
  • 統合失調症
  • パーソナリティ障害
  • アルコール/薬物依存
  • 肥満
  • 閉じこもり高齢者
  • あがり症 など

生きる価値を見つけ、目標に向かうためのエクササイズ

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、マインドフルネス(気づきに注意を向け、心が満たされた状態)とアクセプタンス(受容)を重視しています。

まずは“現在”を見つめ、問題や不安を抱えた自分を受け入れること。そして、過去の経験にとらわれず、まだ起きてもいない未来に不安を抱かず自分が本当に大切にしたいこと(=価値)を見つけ、行動を活性化(コミットメント)するためのエクササイズを行うのです。このエクササイズは、具体的には6つのプロセスに基づき進めていきます。ここで簡単にその6つのコア・プロセスを見てみましょう。

① 思考を観察し、否定的な思考と距離をおく(脱フュージョン)

② つらい感情に抗わず、観察し、そのままにしておく(アクセプタンス)

③ 意識を“いま、現在”に集中する

④ “考える自分”と“観察する自分”の違いを実感する

⑤ 自分にとって意味のある人生(=価値)の発見、または再確認する

⑥ 価値に基づいた行動をする

これらのエクササイズは、マインドフルネスな状態に近づき、価値を見つけるための実践的な方法で、どれかひとつが実行できればよいというものではなく、すべてが関連し合っていることが重要です。

つじもとひさし(2014)「ACTの6つのコアとなるセラピープロセス」,<http://mysticunion.wixsite.com/vijay/single-post/2014/10/31/ACTの6つのコアとなるセラピープロセス>(参照2017-8-25).

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、今後の発展が期待されている療法でもあるため、受けられる臨床機関はまだまだ少ないのが現状です。興味をもった場合は、まずはウェブでセラピーを受けられるクリニックやカウンセリングルームを探してみるといいでしょう。また、ACT JAPANという専門機関のサイトでは、公認の臨床機関を紹介しています。

ACT Japan
http://www.act-japan-acbs.jp/index.html

こころにいいもの・いいことサイト