アサーティブなコミュニケーション

認知行動療法を知る 自分も相手も尊重して自己表現する・アサーション(AT)

対人関係の改善に有効なコミュニケーション技法

自分の意見をうまく相手に伝えられず、もどかしい思いをすることは、日常生活でよくあることです。たとえば、レストランで食事をするとき、注文した料理と違うものが運ばれてきたらあなたはどうしますか? 「注文を間違うとは失礼な店だ。お客をなんだと思っているんだ!」と激高するタイプですか。それとも逆に「本当は食べたくないけど、クレーマーだと思われても嫌だし、黙ってこれを食べよう」と諦めてしまうでしょうか。心の健康にとっては、どちらも好ましい反応とは言えません。なぜなら、どちらも自分の本当の気持ちをうまく表現できていないため、強いストレスが生まれているからです。
アサーション(AT:Assertion Training)とは、こうした不本意なコミュニケーションから脱却して、互いを尊重しながら自分の意見を素直に伝えるコミュニケーション技法のことです。1950年代にアメリカで行われていた行動療法に端を発し、1970年代には自己表現能力を育むためのプログラムとして発展してきました。アサーションの理論では、コミュニケーションのタイプを3つに分けて考えます。
先に挙げた例の前者は自己中心的で相手のことを考えない攻撃的(アグレッシブ)なタイプ、後者は必要以上に相手のことを優先し、自分はがまんする非主張的(ノンアサーティブ)なタイプとなります。そして、そのどちらでもなく、双方を思いやれるのがアサーティブなタイプです。

<アサーションが向いている人・状態>

  • 対人関係に不安がある人
  • 自己主張ができない
  • すぐ感情的になる人
  • 過呼吸になりやすい人
  • 抑うつ状態

まずは自分のコミュニケーションパターンに気づくこと

アサーションでは、何よりもまず自分のコミュニケーションパターンに気づくことが大切です。私たちは普段、「ちょっと言い方がキツイかな」とか「どうも押しが弱いんだよな」という自覚はあったにしても、自分のコミュニケーションに問題があるとは、あまり考えていません。でも、実はその話グセ(コミュニケーションパターン)が、相手の反応を引き起こしているかもしれないのです。自分のコミュニケーションパターンが、アグレッシブなのか、ノンアサーティブなのか、アサーティブなのか、以下の表を参考にチェックしてみましょう。

 アグレッシブノンアサーティブアサーティブ
態度自分優先相手優先自分も相手も尊重
話し方威圧的消極的フラット
聞き方否定的・最後まで聞かない表面的な肯定・無反応オープン・的確な質問がある
意思決定直情的・感覚的意思決定ができない熟考してから決める
立場加害者的被害者的加害者でも被害者でもない
相手の反応反発・表面的服従いらだち・不安素直・平和的
結果相手も自分も傷つける自分を傷つける相手も自分も傷つけない

表現のポイントは「誠実」「率直」「対等」「自己責任」

アサーショントレーニングでは、意見や気持ちを適切に表現する方法をマスターしていきます。そのためには、自分の意見や考えをはっきりさせること具体的に表現すること相手の気持ちを理解することが必要です。以下に、具体的なトレーニング方法をいくつか簡単に紹介しましょう。

<シミュレーション>
問題場面を想定し、それに対して

①アグレッシブな対応
②ノンアサーディブな対応
③アサーティブな対応

それぞれを考え、シミュレーションします。そうすることで、自分の気持ちを整理する練習になります。役割を決め、ロールプレイで繰り返すのも効果的です。

<I(アイ)メッセージ>
相手とのコミュニケーションがうまくいかないと感じたときに、「私」を主語にして伝える方法です。たとえば、何事にもマイペースな人に対して「早くして!」というのではなく、「私は、あなたが急いでくれたらうれしいな」というように。「私」から始めることで、相手を責めるような印象が軽減され、また、次第に自分の感情や意見が明確になっていきます。

<DESC法>
相手に伝えたいことをアサーティブに伝えるDESC法(Describe、Express、Specify、Choose)の4つのステップ。

①描写する(Describe)
問題場面を事実に基づき客観的に伝える
・例:「さっきから1時間以上歩き続けているよ

②表現する(Express)
①についての主観や、相手への共感を感情的、攻撃的にならずに表現する
・例:「少し疲れたし、お腹もすいたな

③提案する(Specify)
問題に対する妥協案や解決策を命令ではなく、「~してはどうか」と提案する
・例:「そろそろランチにしない?

④選択する(Choose)
相手が受け入れた場合、受け入れられなかった場合の両者を想定し、さらなる選択肢を示す
・受け入れられた場合の例:「やった!あなたは何を食べたい?
・受け入れられなかった場合の例:「じゃあ、ベンチに座ってお茶を飲もうよ

DESC法のポイントは、④選択する(Choose)を先に考え、逆算で組み立ていき、自分の意見を押しつけるのではなく、双方にとってメリットのある解決案を探ること。また、相手にはれる権利も、権利もあることを前提とします。

アサーティブなコミュニケーションの仕方は、その時々の状況によって変わります。アサーショントレーニングを進めるなかで「誠実」「率直」「対等」「自己責任」の4つを基本とし、自分にも相手にも誠実であり、人として対等であることを忘れずに、自分の行動の結果に責任を持つこと。最初はうまくいかなくても、トレーニングを繰り返すうちに「考え方を変えられた」と実感することが大切です。

●アサーショントレーニングを受けるには・・・

<アサーショントレーニングを実施している主な組織>

アサーティブ ジャパン
http://www.assertive.org/b/b_2_1/

株式会社日本・精神技術研究所
http://www.nsgk.co.jp/sv/kouza/at/

<アサーショントレーニング関連書籍>

「アサーション amazon」検索結果
http://amzn.to/2cSDdk0

Photo credit: symphony of love via Visualhunt.com / CC BY-NC

こんな記事も読まれています