2つの国際基準

心の病気に関する国際的診断基準について(DSM-5/ICD-10)

心の病を診断する2つの国際基準

精神科や心療内科の医師は、たとえば、感情の不活性や意欲の低下がみられる患者さんに対して、それが「うつ病」なのか、「双極性障害」なのか、「統合失調症」なのか、あるいはまた別の疾患なのかを、的確に診断しなければなりません。似たような症状でも疾患が異なれば、治療法が異なることが少なくないからです。

現在、精神疾患を分類・診断する基準としては、アメリカ精神医学会によるDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)と、WHO(世界保健機構)によるICD(International Classification of Disease)の2つが世界の主流になっています。DSMは精神疾患のみの診断マニュアルであるのに対し、ICDはあらゆる疾患を分類するマニュアルです。ICDの精神疾患の分類方法はDSMをもとにつくられているため、両者の間に極端な違いはありません。DSMは2014年に19年ぶりに改訂された「DSM-5」が最新版で、ICDは2003年に改訂された「ICD-10」が最新版です。

DSMの最新版「DSM-5」に準拠

日本でも、DSMとICDの2つのマニュアルに基づいた分類や診断が行われるのが一般的です。医療の現場で診断名をつけるのには主にDSMが用いられ、厚生労働省の統計はICDに基づいて作成されています。

上述のように、DSMは「DSM-5」が最新版ですが、2014年に改訂されたばかりであるため、医療の現場での普及はまだこれからです。インターネットで見られる情報も、改訂前の「DSM-IV-TR」(修正第4版)に準拠している内容が圧倒的多数です。しかし、本サイトでは、できるだけ新しい情報を提供することを意図し、自己診断(セルフチェック)は「DSM-5」(第5版)を参考に作成しています。また、他のコンテンツでも、分類の考え方や診断名などは、原則として「DSM-5」に準拠しています。

なお、「DSM-5」(第5版)と「DSM-IV-TR」(修正第4版)の違いについては、自己診断(セルフチェック)の冒頭で、疾患ごとに大まかに解説しています。参考にしてください。とはいえ、大切なのは、心の不調に名前をつけることではありません。今、あなたやあなたの家族に何が起きているのか、このつらい状況から抜け出すために何をすれば良いのかを理解し、実践するための糸口を得ることです。

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