適応障害に悩む姿_ケーススタディ

心の病気の症状別ケーススタディ「適応障害」(慣れない環境に不安や焦りを感じる)

【CASE】「適応障害」(慣れない環境に不安や焦りを感じる)

高校を卒業後、大学進学のため東京で一人暮らしをスタート。慣れないことばかりで周囲に知る人もいない環境は緊張したが、勉強は好きだったので、ハイレベルな講義や課題を必死でこなした。厳しいことで知られるA教授の講義に寝坊して遅刻し、「こんなことが続くようなら単位はあげられない」と叱られたこともあるが、反省して自己管理に努め、充実した毎日を過ごしていた。
しかし、次第に頭痛に悩まされるようになり、気持ちに身体がついていかない感じになってきた。とくに、課題の提出や試験の前がつらく「学校に行かなくては」と気は焦るけれど、それとは裏腹に身体は重くて起きるのがやっと、という感じ。気力を振り絞って電車に乗るのだが、めまいや動悸がして、何度も途中下車をして休みながらやっと大学へたどりつく、といった状態。
夏休みに実家に帰ってしばらく休養すると回復したが、後期が始まると間もなく再び体調は悪化。とにかく身体がだるく、食欲も落ち、寝なければいけないと思うのに眠れない。週末は終日どこにも出かけないことが多くなり、連休後、とうとう学校にも行けなくなってしまった。

こうした、頭痛や不眠などの身体症状や、焦燥感などの情緒面での変化、引きこもり状態などは、適応障害の症状に当てはまります。

適応障害の症状

進学や就職・転職、結婚など、自分を取り巻く環境の変化にうまく適応できず、身体や気分に症状としてあらわれるのが適応障害です。ストレスが原因といわれており、強い不安や焦燥感などの「感情面での変化」や、無断欠席をしたり攻撃的になるなどの「行動面での変化」がみられます。また、緊張のあまり手が震えたり、めまいや動悸がするといった身体的な症状もあります。
うつ病と似たような症状がみられ、区別が難しい病気とされていますが、適応障害はストレス要因が取り除かれると改善する傾向にあります。たとえば、職場の人間関係に原因があった場合、会社が休みの日は症状が少なく、気分が楽になることがあるのです。
適応障害にかかった人は、周囲の人から「わがままである」とか、「怠けている」と誤解されてしまうことがありますが、決してそうではありません。ストレス要因の除去や患者自身の適応力を高めるなど、適切な治療をおこなえば、通常6ヵ月程度で改善する病気です。しかし、ストレスが慢性化したまま放っておくと症状も慢性化し、やがてはうつ病を発症するケースも少なくありません。

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