心の病気の症状別改善ステップ 適応障害
改善ステップ:適応障害
症状と経過
適応障害は、自分の周囲に強いストレスとなるものがあり、それがつらく耐えがたいものと感じられて、気分や行動面に症状として表れる病気です。たとえば、情緒面では強い不安感を抱き涙もろくなったり、神経が過敏になったりし、行動面では無断欠席や物を壊すなどの行為が見られます。
適応障害は、その原因となるストレスを経験してから、およそ3カ月以内に症状が表れます。また、一般的に6カ月以上症状が継続することはありません。しかし、ストレスが慢性化すれば、症状も慢性化してしまいます。また統合失調症やうつ病などの前段階である可能性もあるので、注意深い観察が必要です。
適応障害の根本的な治療は、ストレスの原因をなくすことです。この病気はストレスの原因が明確な場合が多いので、それを除去し、環境を整えることで病状は次第に改善します。しかし、現実にはストレスを完全に取り除くことは困難です。そういった場合には、カウンセリングやストレス耐性を高めるための対処法を身につける療法を行います。また、必要に応じて抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法を行うこともあります。
薬物治療
適応障害に伴う不安や不眠、うつ症状などに対して薬を処方します。対処療法であり、根本的な治療ではありません。
非薬物治療・療法
- 認知行動療法
自分のストレスの受け止め方のパターンを知り、ストレスに遭遇したとき適切に対処する方法を学びます。 - 問題解決療法
認知行動療法の一つで、現在抱えている問題(ストレス因子)と症状そのものにスポットを当て、解決方法を見つけていく療法です。 - 森田療法
入院を基本とした精神療法。不快な反応を取り除くのではなく、「あるがまま」に受け入れることで「とらわれ」から脱していこうとする考え方です。 - アロマテラピー
ラベンダーなど鎮静効果のある香りを用いることで、リラックス効果が期待できます。植物を蒸留して抽出した精油を用いるのが一般的ですが、香木や乾燥した植物を、日本の「香道」のように香炉で炙って香りを立たせる方法などもあります。
よりスムーズな回復のために
適応障害の治療の基本は、ストレスを取り除くことです。しかし、それが難しい場合にはほかの方法を考えなくてはなりません。
- 食事
ストレスで疲弊した心身の回復に必要なエネルギー源として、白米や発芽玄米、パンなどの炭水化物を心もち多めに食べましょう。ただし、摂りすぎは低血糖症による情緒不安定につながるので、注意が必要です。また、カルシウムは気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。
ほかにもセロリやグレープフルーツなどの香りのある食品は、ストレスや不眠や疲労回復によいといわれています。
→「食」とメンタルヘルス「心のための食物学」のカテゴリー を見てみる
- 運動
ストレス耐性を高めるためには、リズム運動が効果的だと言われています。ダンスやウォーキング、縄跳び、自転車こぎなどのリズミカルな運動を、日常生活に取り入れてみましょう。時間は、1日10~20分程度が目安です。
→「運動」とメンタルヘルス「心のための運動学」 についても順次公開予定です。
次に、適応障害のケーススタディ を読む
または、適応障害の自己診断 [セルフチェック] を読む