心の病気の症状別改善ステップ 摂食障害
改善ステップ:摂食障害
症状と経過
摂食障害は、体重や容姿への行き過ぎたこだわりから過剰に食事を制限する「神経性やせ症/無食欲症(拒食症)」と、ストレスや拒食の反動によるむちゃ食いを行う「過食性障害(むちゃ食い障害)」、むちゃ食いを行ったあとに排出行為を行う「神経性過食症/神経性大食症(過食症・排出型)」などのパターンがあります。重症の場合は生命にも関わる病気で、治療は家族、医師、栄養士や患者を取り巻く学校や職場などが連携して患者を支えることが大切です。
摂食障害は通院治療が一般的ですが、極度の栄養失調や重篤な精神疾患があるような場合は、入院治療を行うこともあります。適切な食事習慣を取り戻すことと同時に、肥満への恐怖心や低すぎる自己評価、摂食障害という病気への理解など、心のケアも行っていきます。精神状態が治療に悪影響を及ぼしていると判断されれば、薬を使用する場合もあります。治療期間は重度によって異なりますが、国内の調査では初診から4~10年で半数以上が全快もしくは部分回復します。ただし、全快後も再発の可能性があるため、焦らずにじっくりと治療に取り組むことが大切です。
- 認知行動療法
間違った自己評価や、食べることへの過剰な嫌悪感、太りたくないという恐怖心などを、正しい認識に置き換えていくことで、症状の悪化や再発を防ぎます。 - 対人関係療法
摂食障害は、誰かに「太っている」と言われたなど、ほんのちょっとしたきっかけが原因になる場合も多い病気です。対人関係療法(IPT)では、自分の感情に大きな影響を与えている人と現在の関係に焦点をあて、対人関係に関する恐怖感や障害を改善していきます。
よりスムーズな回復に向けて
摂食障害は、病院での治療やメンタルケアに加え、食生活を中心にいかに生活を改善していくかがテーマとなります。
- 食事
摂食障害を克服するための最大の壁が食事です。食べることに対して強い拒絶心があるため、無理やり口に入れるだけでは後から吐き出すことになります。そして、それがさらに食べることへの恐怖心を招いてしまうという、悪循環の可能性も。まずは食べられるものを食べられるだけ食べ、少しずつ量や種類を増やしていきましょう。小さなお皿に少しずつなど、プレッシャーにならない食べ方を工夫すると良いでしょう。過食症の場合は、高カロリーなものを食べたがる傾向にあるので、栄養バランスの良いものを摂り入れるようにします。
→「食」とメンタルヘルス「心のための食物学」のカテゴリー を見てみる - 睡眠
摂食障害は精神的な悪影響を多く及ぼします。その一つが不眠症です。極端な食事制限によって、体のリズムが狂うため、夕方から夜、深夜にかけてハイになり、生活が昼夜逆転してしまうことも。寝具や、アロマ、音楽などでリラックスを心がけることは、精神衛生的にもとても重要です。
→「睡眠」とメンタルヘルス「心のための睡眠学」のカテゴリー を見てみる - 運動
拒食タイプの人はどちらかといえば活動的な傾向があり、過食タイプの人は引きこもりがちな傾向があります。拒食タイプの人は、痩せたいがために熱心に体を動かしがちですが、栄養不足の状態で激しい運動をすることは心身の大きな負担となります。適正体重に戻るまでは、過剰な運動を避け、ストレッチで体をほぐす程度にしましょう。入浴も体力を消耗するため、ある程度回復するまでは長時間の入浴は避けましょう。過食タイプの人も、栄養バランスの乱れから体力が落ちていますので、激しい運動は避け、気分転換のウォーキング程度から始めるのがベターです。
→「運動」とメンタルヘルス「心のための運動学」 についても順次公開予定です。
または、摂食障害の自己診断 [セルフチェック] を読む
摂食障害についての詳しい情報は、下記もご覧ください。
・摂食障害とは を読む
・摂食障害の症状 を読む
・摂食障害の原因 を読む