
心の病気の症状別改善ステップ うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)
改善ステップ:うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)
症状と経過
うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)は、ストレスなどのさまざまな要因により、気分が落ち込み、生きることへの意欲が稀薄になり、身体にも不調をきたすようになる病気です。抑うつの程度が重く、2週間以上続くと「うつ病」と診断されます。
うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)になると、気分が沈む、何事にも興味がわかないなどの精神的な症状とともに、食欲がわかない、眠れないなどの身体的な症状が表れ、進行すると日常生活にも支障をきたします。放置すれば慢性化する可能性も高いため、専門医の適切な治療を受けることが必要不可欠です。治療は、一般的には薬物療法と心理療法を組み合わせて行われます。また、十分な休養も必要です。
薬物治療
うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)の薬物治療プロセスは、大きく分けて「急性期(服用初期~12週間)」「回復期(持続療法:3~6カ月以上)」「再発予防期(維持療法:1~2年)」の3つのステップがあります。
- 急性期
症状が重くつらい時期です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら少しずつ回復していきます。経過に振り回されることなく、じっくり治療を行いましょう。また、この時期は重要な決断は避けるほうが良いでしょう。 - 回復期
症状が徐々に安定してくる時期です。とはいえ、症状がぶりかえす「再燃」が起こりやすいため、治療の持続が必要です。寛解(症状が落ち着いた状態)後、3~4カ月ほど持続療法をおこない、再燃を防止します。睡眠のリズムを整え、やりたいことや、やってみたいと思うことの半分の量からゆっくりスタートするようにします。 - 再発予防期
再燃・再発を予防するために治療を続ける時期。薬は自己判断で中断せず、医師の指示に従い少しずつ減らしていきましょう。また、不眠があらわれたら再発のサインかもしれません。気になる症状があらわれたら、医師に相談することが大切です。
非薬物治療
- 光療法
人のからだは日光を浴びることで昼と夜を認識し、起きている時間・休息をとる時間を区別しているといわれています。光療法は、こうした生体リズムを整えるのに有効です。うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)に伴う不眠などに悩む人にも、効果が期待できます。 - 漢方薬療法
やる気の低下、不眠、気うつなどの症状に対応した漢方薬を服用することで、つらさを緩和します。また、抗うつ薬と併用され、抗うつ薬の副作用の緩和などにも使用されます。
よりスムーズな回復のために
- 食事
セロトニンの分泌を促すタンパク質、ビタミンB群を積極的に摂取しましょう。からだの自然治癒力を高める栄養療法(オーソモレキュラー)も、うつ症状の改善に効果が期待されています。
→「食」とメンタルヘルス「心のための食物学」のカテゴリー を見てみる - 睡眠
うつ病をわずらう人の多くは、不眠や過眠などの睡眠障害に悩んでいます。自律神経を整えるためにも、毎朝、同じ時間に布団に入り、同じ時間に布団を出るようにするなど、睡眠のリズムを整えることが大切です。
→「睡眠」とメンタルヘルス「心のための睡眠学」のカテゴリー を見てみる - 運動
眠りの質を改善するためにも、血行を良くして脳に必要な栄養素を十分に届けるためにも、適度な運動は大切です。気分の良いときには、ウォーキングなどの有酸素運動でからだを動かしましょう。身体を動かすことはストレスの解消にも効果的です。ただし、「何が何でも運動しなければ」と無理をするのは逆効果です。どうにも気分が悪くて動けないときは、お腹に意識を集中させてリズミカルに深呼吸をしたり、ガムを噛んだりするだけでも違います。
→「運動」とメンタルヘルス「心のための運動学」 についても順次公開予定です。
次に、うつ病(抑うつ障害/大うつ病性障害)のケーススタディ を読む