知る人ぞ知る治療法「園芸療法」

植物を育てて心を癒やす「園芸療法」

つぼみが花開く様に心安らいだり植物に触れ気持ちが軽くなったりしたことはありませんか? 園芸療法は、草花や緑を育てることでストレス軽減、意欲回復、認知機能日常生活に必要な能力の維持・向上などの効果を得て、社会的健康を育む療法です。

古代から人々を支えた園芸の力

健康に対する園芸の活用は、古代エジプトや古代ギリシャにおいて、医師が健康改善のために自然散策や農作業を勧めた記録に端を発し、1970年代にはアメリカやイギリスで園芸療法協会が設立されています。日本では明治時代から福祉や医療のなかで作業としての園芸が取り入れられていましたが、近代の世界的な園芸療法の確立を受けて、1990年以降は国内でも園芸療法を学び実践する場が増え、認知度が高まっています。

園芸と園芸療法の違い

園芸は植物が主役で、園芸療法では育てる人が主役。療法士のアドバイスを受けながら、園芸作業を通して人が自分らしく生きられるようになるためのリハビリテーションです。
植物を世話生長を助けることで、次のような変化を実感することができます。

<感覚を刺激する>
屋外で園芸を行うことで「香りをかぐ」「触れる」「育てる」「採る」「味わう」など、五感を活用しながら感覚を快く刺激します。

<心のドアを開く>
人は心にダメージを受けると、これ以上傷つかないように心を閉ざすことがあります。栄養条件さえ揃えばのびのびと育つ植物の姿を目の当たりにすることで、プレッシャーから解放され、閉ざしていた心が自然に開かれていきます。

<生きる力を呼び覚ます>
植物がいきいきと育ち始めると愛着が湧いてきます。「今日は種を撒こう」「来週は間引きをしよう」など計画的な行動目標日々の暮らしに励みを与え、生長が楽しみになれば未来への期待感が高まります。植物の種類、気候や土壌の状態、世話の頻度によって、異なるオリジナルのストーリーを体験しながら、命あるものを育てることが自己肯定につながり、心身にポジティブな影響をもたらします。

<よく動き、よく眠る>
土づくり
種まき草むしりなど、植物を育てていると自然に体を動かすため、無理のない運動ができスムーズな入眠を誘います。

<食べることが楽しくなる>
手塩にかけて育てた野菜おいしく感じるもの。食欲が低下していても、自分で育てた野菜は完食するという人が多く見られ、食欲増進の効果が期待できます。

<コミュニケーションの活性>
必要があれば周囲の人の協力も得ながら行います。園芸を複数人で行うと、自然に役割分担をすることになり、言葉を交わさずに他者とさりげない交流ができます。人と関わりながら園芸の成果による期待や喜びを得るうちに、自分の存在を価値あるものと感じられるようになります。

手軽サボテンから、気長な人向き盆栽収穫を楽しみたい人には野菜美しさや香りを愛でたい人にはと、多種多様な関わり方ができるのも園芸療法の長所です。汗をかいて行動すれば心が動き心が動けば、また自然に体も動くもの園芸の場が「出かけたい行き先」になり、楽しみとなることが、自分らしく人生を歩むための大きな一歩となるでしょう。

■“植物を育てることで元気になれる園芸療法とは?”
http://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/feature/150428/

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