知る人ぞ知る治療法 栄養で治癒力を最大限に引き出す「オーソモレキュラー療法」

知る人ぞ知る治療法 栄養で治癒力を最大限に引き出す「オーソモレキュラー療法」

オーソモレキュラー療法

「自らの力で治す」という発想

オーソモレキュラー療法(orthomolecular medicine)は、「栄養療法」、「分子栄養学」などと呼ばれ、1960年代から取り入れられてきた療法です。「心の病気は脳のはたらきの異常であり、脳が必要とする栄養素を適切に与えられないと、心の病気が起きる」という基本的な考え方のもと、「不足している栄養を十分に補いながら糖質をコントロールし、細胞のはたらきを活発化させることで身体本来の力で病気を治す」というもの。癌や糖尿病気をはじめとする内科系疾患など、幅広い病気に対して有効であるとして世界中で注目されていますが、もともとは精神疾患の治療法として研究が進められてきました。
オーソモレキュラー療法が注目を集める理由は、従来の医療では治癒が難しい病気に対してめざましい成果が報告されているからです。現代医療は、多くの病気を克服可能にしていますが、一方で不定愁訴など原因の解明や根本的な治療が難しい病気も、まだまだたくさんあります。オーソモレキュラー療法は、こうした「よく分からない」症状の治療にとりわけ有効であるとされ、日本でも診療に取り入れる医療機関が急増しています。

身体の状態ととことん向き合い、根本的に改善する

私たちは、目に見えたり感じたりできる不調(痛み、倦怠感、皮膚疾患など)を経験すると、それが不調の主たる症状だと考えがちです。でもそれは、実際に起こっている問題のごく一部分に過ぎず、体内で、私たちが知覚できない症状も起きている場合は少なくありません。そうなると、自覚できる症状に薬物などで対処しても根本的な改善にはならないため、なかなか良くならなかったり再発したりすることがあるのです。
オーソモレキュラー療法は、体内で起きている「代謝」に着目。私たちの身体すべてをつくる基礎となる栄養素を用いて、根本的な不調の原因にアプローチし、身体全体を立て直す(治療する)という考え方です。特徴的なのは、栄養素の不足を細胞レベルで捉えること。そのため、時にはかなりの高濃度の栄養素成分を用いて細胞分子のバランスを整えます。それは単に「不足を補う」というレベルにとどまらず、栄養素を用いて身体を根本から立て直す、つまりは栄養素を使って治療を行うということになるのです。

「栄養」「血糖」「高濃度ビタミンC」の3つのアプローチ

オーソモレキュラー療法では、初めに血液検査を行います。約60~70項目にもわたる詳細な検査によって体内の隠れた不調を見つけ出し、不足する栄養素や糖質の状態などを明らかにします。そして、病態や食生活、ライフスタイルなどを考慮しながらサプリメントや点滴などで不足している栄養素を補い、治癒力を引き出していくのです。分子レベルで考えるため、ときにはかなりの高濃度の栄養素を投与するケースもあり、専門知識を持った医師の指導が不可欠です。
オーソモレキュラー療法のアプローチ方法としては、主に3つ挙げられます。1つは「栄養療法」。不足している栄養素を食事やサプリメント、点滴などによって十分に補うことで私たちの身体に本来備わっている自然治癒力を高めます。
2つめは「血糖調節」です。通常、血糖値は食事などで糖質を摂取することで上昇し、その後、緩やかに下がるというカーブを描きます。しかし、血糖のコントロールがうまくできないでいると、血糖値が乱高下して安定しません。血糖値が安定しないと自律神経が刺激されて、動悸や頭痛、筋肉のこわばりといった身体症状のほか、不安、恐れ、幻聴や幻覚、無気力、不安、恐れなどの精神的な症状の原因になることが知られています。これを、食事コントロールなどで調整していくのです。
osomo_zu3つめは「高濃度ビタミンC」点滴療法です。ビタミンCの血中濃度を高くすることで細胞の免疫システムを刺激したり、DNA修復や細胞増殖に関わるP53遺伝子を安定化するため、栄養療法との高い相乗効果が期待できます。

<ミニコラム> 血糖値と心の状態の関係

人間の身体は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)を一定に保つような仕組みができています。食事などで血糖値が一定レベル以上になると、膵臓からインシュリンが分泌されて糖を取り込み、血糖値を下げます。逆に、血糖値が一定レベル以下になると、膵臓からグルカゴンが分泌されて脂肪を糖に分解します。
ペットボトルの清涼飲料や甘いお菓子などを一気に食べると、エネルギーとなる糖分が大量に入ってきたことで身体は喜び、満足感を覚えます。しかし、血糖値が高くなると膵臓からインシュリンが分泌します。インシュリンは、内臓や筋肉の細胞に指示を出し、糖を吸収させてしまいます。そうなると血糖値は低下するため、身体は再びエネルギーを求めます。そこでさらに甘いものを食べると、またもやインシュリンが大量に分泌されて…という繰り返しとなり、血糖値が乱高下してしまうのです。
インシュリンの分泌過多で低血糖状態になると、脳の機能が低下して頭痛がしたり、気持ちが落ち込んだり、キレやすくなったりします。ひどくなると、不安感やパニック発作、幻覚、幻聴に襲われる場合もあります。空腹時に感情の起伏が激しくなる人は、糖分の摂り方に注意してみてはいかがでしょうか?

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