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書籍『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』【おすすめ本紹介】

パーソナリティ障害…誰にでも個性があり、考え方の癖もある。
正直、「障害」と言う言葉は好きではないが、その個性や考え方が本人の生きていく上に支障を来たしたり周囲を翻弄したりと、影響が大きくなると障害と言う言葉を使わざるを得ないのであろう。

境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害等々、本書では全部で10タイプのパーソナリティ障害が紹介されている。

各々のパーソナリティ障害には、「特徴と背景」、「接し方のコツ」、「克服のポイント」が丁寧に記述されているが、実際は読んで解決できるほど甘くはない。克服までには本人は勿論のこと、支える側にも長い年月と忍耐が欠かせない。その覚悟が必要なのである。

パーソナリティ障害…私事で恐縮だが、この言葉には苦い思い出がある。
十年以上も前のことになるが、企業の中で安全衛生の業務に従事していた時期があった。
仕事柄メンタルヘルスに関わることも多く、「鬱病」「統合失調症」等に罹患した従業員のフォローをする必要もあった。

その中にはパーソナリティ障害の人もいた。彼は休職し治療を受けていたが、改善はなかなか進まなかった。私自身は本書以外のパーソナリティ障害の書籍を読んでいて接し方も心得ていたつもりだったが、全く役に立たなかった。薬物の過剰投与、自殺未遂等。結局、彼は自己破産申請をし、会社を辞めた。所詮企業の一担当部門では覚悟も持てるはずもなく、素人の付け焼刃ではダメというのが実感であった。

本書は、パーソナリティ障害の基礎知識を得る事に意味があるが、誰もが気軽に読める本ではない。障害に苦しむ人を真摯に支える人達に読んで欲しい一冊と思う。

 
『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』 (著)岡田尊司 PHP研究所 968円(税込)
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