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大人もこどももひきこもれ! 『ひきこもれ<新装版>ひとりの時間をもつということ』【おすすめ本紹介】

この本は2002年に刊行され、2006年に文庫化された「ひきこもれ」を再編集したものです。

まず、著者は自身がひきこもり気質であることを認めたうえで、どのような生き方、どのような職業に就くにしても、「分断されないひとまとまりの時間」が必要だと言っています。
著者は次のように述べています。

 「自分の時間をこま切れにされていたら、人は何ものにもなることができません。
  ゆくゆくはこれを職業にできたらいいな、と思えるものが出てきたならなおさらのこと、
  一人で過ごすまとまった時間が必要になります。傍から見ると、何も作り出していない、
意味のない時間に見えても、本人にとってはそうではないのです。」

そして、このひきこもりの時間を過ごすことで「第二の言語」というものを得られるのではないか、
と言っています。これは、自分自身のために発した、自分のためだけの言葉のことで、通常私たちが使う他人とのコミュニケーションのために発する言葉とは別のものです。
わたしはこれを、自分自身を見つめるために自分に向けて発する言葉、と解釈しました。

あなたは「分断されないひとまとまりの時間」と「第二の言語」、この2つと深く向き合い、掘り下げていくことになります。これを著者は「価値」を生むことだと言っています。
やがてそれが、人生の豊かさを決める基軸となり、現代を生きる私たちの大きな力になるのではないでしょうか。

人や社会、そして自分自身とどのように関わっていくのか。どの年代でも悩みは尽きません。
この本では、若者たちにむけて、こどもの不登校・いじめ・死について、老いについて、など著者自身が感じたこと、考えたことを率直に述べています。

いま現在どうしたらよいのか悩んでいたり、自分がこどもだった頃を思い出したり、これから老いていくことへの不安であったり、読む側の年齢や立場によって、感じること、思うことは異なります。
この本は、どのような立場であってもいま現在の私たちに、ひとりの時間の大切さを教えてくれます。

 
『ひきこもれ<新装版>ひとりの時間をもつということ』吉本隆明 SBクリエイティブ 946円(税込)

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